『中途採用者に対する差別はあるか』(36歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談
<城繁幸氏の診断>
診断:『中途採用者は金の卵』
欧米での成果主義と、現在ここ日本で一般的に行われている“エセ成果主義”との最大の違いは、後者には、賃金にせよポストにせよ、降格という仕組みがないという点に尽きます。要するに上がったもん勝ちなんですね。これじゃあ若い人間ほど報われません。上がどんどんつかえちゃいますから。
そんな中、仕事のやりがいや報酬を求めて、別の会社に転職するというのは、一つの積極的な選択だと言えるでしょう。
さて、では実際に中途採用者に対する差別は存在するのでしょうか?結論から言えば、通常はまずありえません。企業がキャリア採用において求める人材とは、大きくわけると二つのタイプに分けられます。
・社内に存在しないタイプのスキルを持っている
・社内の平均的人材よりも優れたスキルを持っている
要するに、現状では社内で確保できない人材ですね。逆にありふれた人材なら、わざわざ他の所から採ってきたりなんてしません(この点、キャリアではなく若さが評価される第二新卒採用は特殊と言えます)。
しかも、この手の人材の採用には、それなりのコストがかかります。人材紹介会社経由での採用(業種にもよりますが、よほどブランドのある企業を除けば、紹介会社経由での採用が中心です)の場合、採用者の年収の3割程度を、紹介会社に支払うことになります。
つまり、企業が中途で人を採る場合、その人に対するニーズは確実に存在し、それなりのコストも投資されているわけです。わざわざカスタムオーダーした自動車を大切に乗らない人間がいないように、中途採用者を疎かにする企業はありません。