トランプの巧みな戦術を民主党は突破できるか 民主党はどのような大統領候補を選ぶのか

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名乗りを上げている民主党の多彩な面々。まだ抜きん出た候補はいない( 写真: REUTERS)

民主党の大統領候補者による第1回民主党テレビ討論会(2019年6月26~27日)までは、支持率は知名度に基づくものだった。2017年まで副大統領であったジョー・バイデン氏や2016年大統領選に出馬したバーニー・サンダース上院議員が先頭を走っていた。だが、今やその先頭集団にはエリザベス・ウォーレン上院議員、カマラ・ハリス上院議員、インディアナ州サウスベンド市のピート・ブティジェッジ市長などがくい込み、トップ争いは激しさを増している。

今日、民主党は大きく2つのグループに分けることができる。1つが「革新派」、もう1つが「復元派」だ。

革新派とは既存の政治体制の破壊、一新を望む進歩派のグループだ。ウォーレン、ハリス、サンダース、ブティジェッジなどが入る。対する「復元派」は、トランプ大統領のみを問題視し、既存の政治体制の一新までは望まない穏健派・主流派のグループだ。同グループには、バイデン氏のほか、エイミー・クロブチャー上院議員、マイケル・ベネット上院議員、ジョン・ヒッケンルーパー前コロラド州知事などが含まれる。だが、先頭集団に入っている復元派候補はバイデン氏のみであり、復元派グループは同氏がほぼ独占している状態だ。

選ぶのはバイデン氏かアウトサイダーか

NBCテレビ-ウォールストリートジャーナル紙の世論調査(2019年7月7~9日)で、民主党候補の政策について民主党予備選の有権者を対象にした質問に次のようなものがある。「費用がかかり、法律にするのは難しい可能性があるものの、大幅な変化をもたらす大規模な政策を提案する候補を支持する」か、「費用は比較的抑えられ、法律にするのはより容易であるものの、変化はわずかな小規模な政策を提案する候補を支持する」か。

前者と答えたのは54%で、後者と答えたのは41%であった。つまり前者が革新派支持、後者が復元派支持といえ、民主党有権者は革新派支持者のほうが多い。だが、54%を4人で争う一方、41%をバイデン氏が独り占めするかぎり、同氏は予備選で当面残る可能性が高い。

民主党は予備選で党内闘争が激しく、候補はまずは予備選で勝利することに必死だ。現在の焦点は、本選で重要なラストベルトの州ではなく、アイオワ、ニューハンプシャー、サウスカロライナなど予備選の初戦州だ。その間にトランプ大統領はラストベルト地域をはじめ激戦州を巡り、早くも本選に向け選挙キャンペーンを展開している。

党内闘争が絶えないものの、次期大統領選でトランプ氏に勝利することが民主党支持者の一致した目標であり、「勝てる候補」を選定することが重視される。現状では、民主党支持者が考える「勝てる候補」とは、政治経験の長さや知名度など過去の実績に基づくものであり、バイデン氏が該当するとみられてきた。しかし、その座は危ういものでもある。

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