ピーチが「ANAの真逆」で成功を収められた本質 「他者がやらないこと」を大切にするワケ

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とにかく「コストダウンを」と言うよりも、「やりくり」で最大限、生産性を上げていくことをめざすほうが、はるかに仕事の「おもろさ」があるし、それが成功したときのよろこびも大きなものがあります。
ですので、私はピーチの社員たちに、こう言っています。
「必要なモノは調達するとして、できるかぎり“やりくり”しよう」(「はじめに」より)

ピーチは就航3年で単年度黒字化を達成し、累計損失を5年で一掃できたというが、それも「やりくり」のおかげだと主張するのだ。では、そのための発想はどのようにして生まれたのだろうか? そこに焦点を当てると、ピーチの秘密が見えてくる。

これ、やってみたらおもろいんちゃう?

どのような仕事をするにしても、「なにかしらアイデアを考え、企画する」ことは避けられない。例えばプロジェクトのコンセプトを立てる、製品やサービスの売り込み方を考えるなど、規模の大小や頻度の高低はあっても、「アイデアを出し、企画にする」ことは誰もが普段からしているわけだ。

そして結果的にそのアイデアが優れたものであれば、周囲の人々に「それいい!」と評価される企画が立ち上がっていくことになる。

その際、ともすると「失敗しないようにしよう」「成功モデルを模倣してみよう」「流行に乗っかろう」などということを考えがちだ。しかし、それらにはどこか無難なイメージがあるため、インパクトに欠けてしまう。

そんななかでピーチが突出しているのは、「やってみたらおもろいんちゃう?」という考え方をベースにアイデアを出し、企画にしているから。成功モデルがあるか、流行に合っているかなどは二の次であり、「やってみたらおもろそう」と思えることがあれば、それをベースにするということだ。

「客室乗務員のあいさつを大阪弁でやったら、大阪の航空会社っぽくておもろいんちゃう?」→「おもろい」→「採用!」
「ウナギ味のナマズ丼を機内食で出したら、『ワォ! ナマズかよ!』と驚いていただいておもろいんちゃう?」→「おもろい」→「採用!」
「コシヒカリを機内で売ったら、新潟路線就航の盛り上がり感が出ておもろいんちゃう?」→「おもろい」→「採用! 魚沼産で!」
(19ページより)

例えばこのように、「おもろい」かどうかで企画にするかどうかを判断しているというのである。なお、「おもろさ」を大切にすることには意味があるのだそうだ。

次ページ「おもろい」が加わることで生まれる効果とは?
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