吉本社長の「的外れ」会見が与えた強烈な不信感 松本人志の尽力も、加藤浩次の叫びも届かず

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岡本社長のコメントは、謝罪会見で必須とされる「事実」「原因」「対策」のすべてで具体的な発言がなかった上に、着地点から逆算して組み立てずに長々と話し、「2人が(交渉の)テーブルについてもらえるなら」「僕のダメなところです」などの同じフレーズを連発。質問に対する回答をなかなか話さないため、記者に「〇〇なんですね?」と再度うながされて、仕方なく「はい」と答える。あるいは「端的にお願いします」と求められるシーンも目立ちました。

受け答えがしどろもどろだった根本理由

ビジネスパーソンの学びとしては、岡本社長の逆をすればOK。「事実、原因、対策に関する具体的な発言を心がける」「着地点から逆算して話を組み立て、冗長にならない」「同じフレーズを繰り返して事務的な印象を与えない」「質問に対する回答を最初か最後に話してわかりやすくする」。謝罪に限らず記者会見では、これができていれば記者から必要以上の攻撃を受けることはなく、いたずらに長引くことはないでしょう。

裏を返せば、岡本社長がこれをできなかったのは、宮迫さんと亮さんの動きを受けて会見の必要性が発生しただけで、「もともと会見するつもりはなかった」からでしょう。会見を見た多くの人々が、「しどろもどろなのに、『これは小林に』『これは藤原に』と部下に話を振るときだけスピーディーだった」と指摘していました。「できるだけしゃべりたくない」という心境は誰の目にも明らかであり、2人の会見から中1日空けたにも関わらず、心の準備が整っていなかったのではないでしょうか。

その意味で、しゃべりたくなくて会見に臨んだ岡本社長と、しゃべりたくて会見に臨んだ宮迫さんと亮さんの2人は対照的でした。岡本社長はコミュニケーション不足を反省点に挙げていましたが、騒動に対してここまでテンションの温度差がある以上、ギャップを埋めるのは難しかったのでしょう。

その他にも岡本社長は、数々の疑惑を釈明しました。

「なぜ会見させなかったのか?」という質問には、「『(お金を)もらっていない』というところ(嘘)からはじまり、プラス(第2弾の報道で)人も増えたので」。

「お金をもらっていたことがわかった6月8日から公表した6月24日まで、なぜこれほど時間がかかったのか?」という質問には、「それだけ、すごく衝撃的だったということ」「われわれとしては現場総出でヒアリングしてきたので、全力でやったと思っています」。

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