BMWに「新車同然の中古車」が溢れかえる大異変 販売増の裏でディーラーの「自爆営業」が常態化
ディーラーの経営状況は深刻で、ほかのメーカーのディーラーと比べても明らかに利益率が劣っているという。この幹部は「質のいいメンテナンスも含めて、評価してもらっている。そのために頑張っている従業員の踏ん張りに報いたいのに」と話す。
ディーラーには販売台数達成に強い圧力がかかっており、契約打ち切りをめぐって訴訟が起きるなど、軋轢も表面化している。BMWでディーラーによる自社登録が増え始めたのは2013年頃。このころ、ライバルのメルセデス・ベンツが販売台数を伸ばし、BMWに対して差をつけ始めた時期と一致する。
日本法人から露骨な自社登録要求も
なぜこのようなことが起こるのか。取材を進めると、販売台数をかさ上げするためにBMWの日本法人、ビー・エム・ダブリュー株式会社(BMWジャパン)がディーラーに大量の自社登録をさせていることがわかった。BMWディーラーの元には、期末になると「あと30台買ってくれ」というような露骨な自社登録要求もディーラーに対して寄せられるという。
関係者によると、2018年の新車販売台数約5万台のうち、3割はこうしたディーラーによる自社登録によるものだという。本来新車で買う予定だった顧客が新古車で購入することがあるため、実際の販売力は正確には見積もれないが、5万台という数字が“少なからず”「かさ上げされた数字」とみることはできる。
新古車や自社登録の存在は、少し自動車に詳しい人間の中では広く知られている。安い新古車が出回るということは、それを狙って購入するユーザーにとって必ずしも悪い話ではない。ただ、中古車市場全体でのブランドの価値が下がってしまう。このため、既存のユーザーにとっても下取り価格が下がるなどの弊害が及ぶ。あるディーラーの幹部は「品質の高い車を提供している自負があるのに、売り方がよくないせいでお客様にご迷惑をかけてしまう」と悔しがる。
BMWジャパンは取材に対し、「当社はディーラーのビジネスに関してコメントする立場にない」としている。
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