隣の乗客が犯人?謎解きツアーバスの本気度 ラストに海辺の絶壁で犯行動機が明かされる
当然ながらツアー参加者は「謎解きツアー」と承知して参加しているわけで、このあたりはニヤニヤとしている。各観光地では「謎解き」が行われるが、最初は簡単だ。他局で恐縮だけど、TBS系列の「東大王」にありそうな文字埋めクイズだ。観光地とはあまり関係ない謎解きである。これのどこが犯人に関係あるのかと。物語としてちょっとずさんではないかと思った。初めは。
ところが、5つの問題はだんだん難しくなっていく。筋書よりもクイズの答えが気になってくる。そして観光も楽しい。佐倉の竹林はインスタ映えする風景だし、武家の住居も興味深い。藤沢周平ファンなら「武士の一分」「たそがれ清兵衛」の情景に思いをはせられそうだ。
水郷の街、佐原は伊能忠敬ゆかりの地。婿入りした忠敬は伊能家を盛り立て、佐原の名主となり帯刀を許される。伊能忠敬は日本地図「大日本沿海輿地全図」で有名だけど、年下の天文学者に弟子入りし、全国を測量して地図を作り始めた時期は、長男に家督を譲って隠居になってからだ。自由行動の開始場所の近くに、伊能忠敬の旧居と記念館があった。見学すればあっという間に集合時刻である。
昼食はレストラン「オーベルジュ・ド・マノワール 吉庭」だ。800坪の日本庭園があり、四季の創作料理を楽しめる。この日は前菜、冷たいコーンスープに続き、舌平目とホタテ貝のチャウダーソース、ひな鳥のタプナード南仏風、帆立ご飯、デザートは杏仁豆腐。別料金でワインやソフトドリンクもオーダーできたけれど、井戸からくみ出したという水がうまい。しかも無料。恥ずかしながら何度もおかわりしてしまった。
犬吠埼の「絶崖」で犯人が明かされる
この頃になると参加者同士の会話も弾む。ツアー参加者の年齢層は幅広く、若い女性の2人連れ、1人旅の諸氏、若いカップルや年配のご夫婦など。バスツアーの特徴か、2人で参加する人々が多いようだ。もっとも、1人旅の人同士もうち解けて会話に参加していた。
私の相席は、謎解きファンの母娘とバスツアー好きの女子旅2人連れ。母娘は脱出ゲームのファンで、各地のゲームに参加しているという。女子旅はバスツアーファンで、テレビ東京で放送しているツアー紹介番組「旅スルおつかれ様~ハーフタイムツアーズ~(以下、旅スル)」でこの企画を知ったとのこと。
私たちはミステリー小説や刑事ドラマの話などで大いに盛り上がった。刑事さんのテーブルもにぎやかだ。もちろんここでも謎解き問題が出されて、全員で解く。
銚子電鉄に乗って犬吠駅へ。ぬれ煎餅などお土産を買う時間が用意された。そして待機していたバスで犬吠埼へ。ここでいよいよ最後の場面。謎解きの答えを組み合わせると犯人の特徴が浮かび上がる。そして、犯人はなんと、ずっとツアーに参加していた人だった。やられた。ちっとも気づかなかった。
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