ヴィッセル神戸が目指す「アジアNo.1」への道 今季2度の監督交代、成績も低空飛行続くが
「攻撃的で、魅力的なサッカーをするに当たり、何度も話し合った結果、彼が適任だという結論になりました。ボールポゼッションを高め、より支配をするためには、いろいろな角度から(チームを)修正しなければなりません。攻撃のアイデアや守備の修正に関して、われわれが目指すサッカーを間違いなく推し進めてくれる監督と思い、決断しました」
では、改めてどのように新しいスタイル構築を目指すのだろうか? 三浦SDがクラブ改革のスタートについて振り返る。
「2017年12月、私がスポーツダイレクターの仕事を打診されたとき、三木谷(浩史)会長と話をして、まずスタイルを確立しましょう、ということでスタートしました。
親会社である楽天はバルセロナとパートナーシップを結んでいますし、楽天という会社は、自分たちが主導して世の中の流れを動かしている会社です。だからサッカーでも、自分たちが主導してゲームを進めましょうと。
これまでのヴィッセルは堅守速攻、どちらかと言えば守備的なスタイルでした。これでは観客もワクワクしません。観客を楽しませながら、勝つ確率を上げたい。そのためにはポゼッション、自分たちが主導権を握ってサッカーをすることが大事。せっかくバルセロナとパートナーシップを結んでいるのだから、そこを目指しましょうと話したんです」
横浜フリューゲルス時代の経験が今に結び付く
このプロジェクトの原点には、三浦SDの現役時代の経験が大きい。最初に所属した横浜フリューゲルスで三浦SDは、FCバルセロナのスタイルに取り組んだことがあったのである。
「当時(1998年)、ヨハン・クライフの右腕といわれたカルロス・レシャックが監督に就任しました。成績不振でシーズン途中で解任されてしまいましたが、あのまま続けていれば、絶対に面白いサッカーができるようになると感じていました。
僕自身、性格的にリアクションがあまり好きじゃない。相手のドリブルに必死についていく、相手の攻撃をどうやって守るかとかはあまり好きじゃない。相手をどう動かして、どの隙を突いていこうか、という時間が長いほうが僕は勝つ確率が高いと思っています。
ボール支配率が70%以上になったら、ほとんど勝てる。そういうときは、相手もゴール前を固めて守りますけど、もし、そこでボールを失っても、うちのゴールまでは距離が長い。ボールを支配し、相手を押し込み続ければ、失点のリスクも減るわけです。バルセロナはそういうサッカーですよね。フリューゲルスが目指していたのもそういうサッカー。
ヤット(遠藤保仁/ガンバ大阪)、モトさん(山口素弘/現名古屋グランパスアカデミーダイレクター)も影響を受けたと思うし、吉田前監督もレシャックの薫陶を受けています」
もっとも、スタイルの変更は時間を必要とする。実際、世界中を見渡すと、バルサスタイルにチャレンジするクラブは多いが、なかなかうまくいかずに、志半ばで諦めてしまうクラブも多い。
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