あのTikTokに次ぐアプリ、「PDD」って何だ? 中国でアリババの座を脅かす新興ECの素性
突然、「618セール」に各社が参入したのは、ユーザー獲得競争が激化する中、あらゆる機会を逃したくないという意図の表れである。
ここ十数年、中国では、ECプラットフォームの興亡が繰り返されている。アリババ系の「タオバオ」や「Tモール」のような総合型プラットフォームが成長を続ける一方、かつて“オンライン版ユニクロ”と呼ばれた「凡客誠品(VANCL)」や、書籍専門の「当当網」といった専門型プラットフォームは軒並み苦戦。
直近では、外資系プラットフォームの凋落が鮮明だ。世界最大手のアマゾンは中国人消費者の嗜好に合ったサービスを提供できずに中国市場から撤退。200超の大型スーパーを展開し、近年はECも手がけていたフランスの流通大手カルフールも、中国事業を家電量販大手の蘇寧に売却した。
そんな中、「社交電商」と呼ばれる、SNSとECが融合したプラットフォームがここ数年で急成長を遂げ、総合型プラットフォームの地位を脅かしつつある。その代表格がPDDだ。
PDDアプリは「TikTok」中国版に次ぐ2位
『2018年中国モバイルインターネット年度報告』によると、中国アプリのアクティブユーザー増加数ランキングで、PDDは2位。ECアプリとしては断トツだ。ちなみに全体の1位は、日本など中国国外では「TikTok(ティックトック)」として展開している、動画SNSの「抖音ビデオ」だった。
PDDの強みは低価格だ。社名はアプリと同一で、2015年に上海で設立された。地方に住む低所得層を対象に事業を急拡大させ、2018年7月にはアメリカ・ナスダック上場を果たした。
EC業界ではアリババ、京東というトップ2社が先行優位を保ち、業界地図が変化しにくいと思われていた。しかし、PDDは中国で中所得層の台頭が注目される中、あえて低価格商品に的を絞ることで、空白地帯だった地方の低所得層の開拓に成功。ブルーオーシャンに飛び込んだのだ。
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