7代目カローラを自動車通が「伝説」と語る理由

トヨタの大衆車はバブル期がすごかった

同時期と言えば、世界のプレミアム・ブランド勢を驚かせ、震撼させたレクサス LS400の開発にもまた深く関わっていた。

日本の自動車産業がいちばん「燃えていた」時期の、大きなプロジェクトに深く関われたのはほんとうに幸せだったし、光栄だった。

話しをカローラに戻すが、7代目カローラの仕上がりレベルは高かった。「クラウンの立ち場がないじゃない!」との意見がトヨタ内部からでるほど、立派な仕上がりだった。

走り味/乗り味も一級品。大衆車クラスのレベルを大きく超え、プレミアムクラスとも十分競えるほどの仕上がりだった。

7代目カローラのすごみ

さらに上のレベルの走りを追った「スーパーストラット」モデルの開発にも加わったハードな仕事だったが、ハードな分、楽しさもあったし、やり甲斐もあった。

これも開発初期はけっこう危うい状態だった。とくに上記した士別試験場のハンドリング路を攻めるのは勇気が要った。でも、回を重ねる毎にもたらされる確実な進化がモチベーションになって背中を押した。

最終テストが終わった時、開発チームのみなさんにお礼を言わせていただいた。

「欧州のライバルを超えました。VWをも、オペルをも、フォードをも超えました! 素晴らしい想い出を作らせていただきました。感謝します!」と、、。

追記になるが、バブル崩壊の直撃を受けた8代目カローラは大幅なコスト削減を余儀なくされた。とくに内外装への影響は大きかった。

7代目の輝きは見る影もないほど、失われてしまった。7代目と8代目のカローラを並べるのは、残酷な行為とさえ思えた。

コストの問題は、いつでも開発に大きな影響をもたらす。それは当然のことだし、僕も多くを経験してきた。しかし、バブル前とバブル後、、これほど極端な落差に出会ったのは、後にも先にも1度だけだ。

(文:岡崎 宏司/自動車ジャーナリスト)

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