日産、株主総会後も「ルノー支配」は変わらない ゴーン氏を失ったことは大きな痛手だった
6月25日に日産自動車の株主総会が開かれる。新しい経営体制に移行するために必要な定款変更を諮る議案に「棄権」の意向を示していた筆頭株主のフランスのルノーが20日、棄権の意向を撤回した。これで日産が指名委員会等設置会社に移行する議案の可決は確実になった。
ただ、経営統合に対する両社の温度差が浮き彫りになるなど、対立の火種は残ったままだ。
日産出身で、1990年代後半に経営危機に陥った日産が当初支援を求めたドイツのダイムラーのアドバイザーとして関わった経験もある早稲田大学大学院の服部暢達客員教授に、両社の攻防の意味や今後予想される展開を聞いた。
ルノーは2度、ミスを犯した
――カルロス・ゴーン前会長の逮捕後、アライアンスのパートナーであった日産とルノーの関係がこじれています。日産に経営統合を迫るルノーに対し、経営の独立性を強めようとする日産。いわば敵対的な買収をめぐる攻防に見えます。
経営不振に陥った1999年にルノーの資本を受け入れた時点で、日産は実質的に買収されていた。つまり、買収をめぐる攻防という意味ではすでに日産は負けている。それが経営の独立性を取り戻す千載一遇のチャンスを得た。なぜかというと、ルノーがこれまでに2度のミスを犯して隙を作ったからだ。
1つ目は、ルノーが日産への出資を43%という中途半端な出資比率にとどめていたこと。少なくとも50%超、本来は100%、完全子会社にすべきところだ。が、ルノーにはそれだけの資金力も覚悟もなかった。2つ目がゴーン前会長の不正問題だ。ゴーン前会長が健在だったならば、日産が独立を求めるチャンスはなかったはずだ。
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