ルート極秘、米国の荒野を走る「核廃棄物」列車 重武装の要員が同乗、略奪防止用の監視車も

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4400馬力のディーゼル電気機関車・形式C44ACの牽引する6両編成の列車はアトミックシティーを出発して、ブラックフットでかつてはイエローストーン国立公園まで旅客列車を走らせていた支線に入り、ポカテッロでポートランドとソルトレークシティーを結ぶ本線に入り、ソーダスプリングス、モンペリエからグランジャーを経由してユニオンパシフィック鉄道の大幹線に入線すると推定できる。

最終目的地は、途中に関連施設があるので行き先は不明である。この種の特別列車の運行スケジュールは保安上の問題から公開されていない。

6両の列車は牽引用ディーゼル機関車、前後2両の緩衝用フラットカー、核廃棄物格納容器を積載した2両の特別貨車と監視用のカブース(日本流に言えば車掌車)で編成されている。牽引のディーゼル機関車後部とカブースの前のフラットカーは、追突等の事故による格納容器および格納容器積載車両のダメージを最小限にするために組み込まれたクッション用の車両である。

最低でも3編成が存在?

格納容器はステンレス鋼で造られ、内部に放射線の遮蔽板が巻かれている。また、再臨界防止のため、冷却用送風機が設置されている。

最後尾のカブースはテロ等による核物質略奪防御用の監視車で、内部には重武装した要員が同乗し、常時外部監視を行っている。外部からその内部をうかがい知ることができない窓には、偏光・防弾ガラスが使用されている。

最近、アメリカでは長大編成の貨物列車であっても後部にカブースが連結されていない。短区間の運転、保線列車等にカブースが使用されることはあるが、これらのカブースに比べこの編成のカブースは、外部からの攻撃に対する防御上、極端に窓の数を少なくした特別車両である。

アメリカでは、鉄道車両製造にあっては、製造順に0から車番が与えられる。今回のカブースの番号が902とあるので、900、901に続く3番目の編成ということになる。つまり、核廃棄物を処理施設まで運ぶ特別列車は複数存在するものと推察できる。

中村 彰宏 鉄道フリーライター

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なかむら あきひろ / Akihiro Nakamura

大手非鉄金属会社で製錬所、および海外をふくむ複数の粉末冶金工場の設計・建設に従事。学生時代は旧国鉄部内誌の口絵に海外の鉄道車両を紹介。主にアメリカの鉄道貨物輸送に傾注・調査。現在は海外誌に国内新製車両等の紹介記事を提供している。

 

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