日本は、なぜホルムズ海峡で標的になったのか 安倍首相の米・イラン仲介外交は台なしに

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イランには、サウジなどが支援するスンニ派の反体制派組織が存在するが、こうした勢力による犯行の可能性はどうか。2018年9月には、イラン南西部フゼスタン州の州都アフワズで革命防衛隊の軍事パレードがテロの標的となっているほか、2017年6月には、過激派組織「イスラム国」によるイラン国会議事堂襲撃事件も起きている。

イランの革命防衛隊元司令官は日本メディアの取材で、分離主義を掲げるイラン南東部の反政府組織「ジェイシ・アドリ」が関与した可能性があるとの見方を示している。だが、これらの組織は、革命防衛隊をしのぐような装備や技術は持っていないとみられており、犯行主体としては考えにくいだろう。

一部強硬派が「暴走」したとの見方も

だとするなら、革命防衛隊に絞られてくる。以前から革命防衛隊は軍事部門のみならず、政治や経済にも幅広い権益を保有しており、アメリカの制裁強化では革命防衛隊の資金源も標的にされている。

さらに、イラン内政も影響している。シリア内戦で革命防衛隊がテコ入れしたアサド政権が実質的に勝利したり、イエメンのフーシ派がサウジ連合に頑強に抵抗したりした戦果は、革命防衛隊のイラン国内での立場をより強固にしてきた。今年2月にはザリフ外相の辞任騒動があったが、これは革命防衛隊がシリアのアサド大統領のイラン訪問という外交を主導し、ザリフ外相がかやの外に置かれたことに原因があったとささやかれた。イラン専門家は「革命防衛隊は中東での覇権争いにおいて戦勝ムードに沸いており、国内基盤は一段と強固になっている」と分析する。

一方、安倍首相とハメネイ師の会談当日に日本のタンカーを攻撃するという行為は、ハメネイ師の顔に泥を塗る行為という指摘があり、革命防衛隊の一部強硬派が「暴走」したのではないかという見方もある。だが、革命防衛隊は、1979年のイスラム革命体制を死守し、最高指導者を守ることが至上命題だ。穏健派のロウハニ大統領やザリフ外相ならいざ知らず、ハメネイ師の意向を無視して暴走することは考えにくい。

アメリカのコンサルティング会社ユーラシアグループの専門家は「(日本のタンカーに対する攻撃は)ペルシャ湾岸地域の安全保障は、自国経済の安定が条件だと示そうとするイランの組織的な行動の一環だろう」とし、イランの犯行との見方を示した。

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