韓国の空港で暮らす「アンゴラ人一家」の真実 日本人少女がメディアより先に情報を伝えた

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ルレンド夫人は大学で会計学を学び、結婚前はコンゴの信用金庫で働いていたという。教育とキャリアに恵まれたルレンド夫人は、その重要性を実感しているのだろう。何よりも子どもたちの教育を望み、空港内では支援物資として届いた教材で、子どもたちに厳しく勉強を教える姿が印象的だった。

「人を助けたいから医者になりたい。午前中は医者になるための学校に行って、午後はダンスの学校に行きたいの」と目を輝かせて勉強するロデちゃん。筆者が「アンゴラの学校のお友達に会いたくない?」と尋ねると、「会いたいけど、アンゴラに帰るとバーンって殺されるから帰りたくない」と、ロデちゃんは銃で撃たれるポーズをした。その姿に思わず悲しい表情で返した筆者に対し、彼女は「ノーノー! スマイル!」と言って、筆者の表情をまねした後、大きな笑顔でおどけて見せた。

小都ちゃんの存在が大きな支えに

そしてロデちゃんは、一枚のポストカードをうれしそうに見せてくれた。熊本の小都ちゃんからの手紙だった。「ハーイ、ロデ、愛してる。大丈夫? また会いたい。小都」と書かれていた。 アジアで見つけた大事な友達、小都ちゃんの存在は大きな心の支えになっていることだろう。

小都ちゃんから届いた手紙(ロデちゃん提供)

ルレンド一家の取材後、小都ちゃんに報告の連絡をいれた。小都ちゃんが届けた洋服をロデちゃんが着ていたことを伝えると、「私の友達もいらない服があるかもしれんけん、相談してみようかな」とうれしそうに話し、自分に何ができるのかを模索し続けていた。

実は偶然にも、小都ちゃんの父親ウィーさんは、2才のときにベトナムからアメリカへ渡った難民だったという。ウィーさんは「小都を誇りに思う。彼女は直感に従って正しいと思うことを判断し、行動している。小都のその想いを守るために、親としても全力を尽くしたい」と話した。

小都ちゃんのように目の前の他人に対して心を寄せる共感力と行動力があれば、私たちはもう少しあたたかい世界を作ることができるのかもしれない。6月20日「世界難民の日」を前に、大人のあなたたちには何ができますか、と小都ちゃんにまっすぐな問いを投げかけられているような気がしてならない。

日本では報道されていないが、韓国では、ルレンド一家の様子はテレビなどで報道されており、賛否両論が巻き起こっている。それにしても、韓国はなぜルレンド一家の受け入れを拒んだのか。そして、7月に予定している第二審へ向けてのルレンド一家を取り巻く動きについて、次回詳しく伝えたい。

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