1泊2食1万円以下の「温泉宿」を探す楽しみ 昔ながらの駅前ビジネスホテルも穴場だ

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設備面で不利な分、おもてなしの努力を感じる宿もある。以前、正直安さだけが気に入ってよく利用していた宿の部屋に入ったところ、「約4年間変わらずお越しいただいておりますことに心よりお礼を申し上げます」という文面で、今年は例年になく暑いことや私の住んでいる川崎のことなどをしたためたメッセージが置いてあり感動した。

反対に、ある地方都市のホテルにチェックインしてオススメの居酒屋を訪ねたところ、フロント係のおばちゃんから「私ら外で食べないのでよう知らんのですわ」という返答をされて思わず笑ってしまったこともある。

さてもうひとつ、古い宿という観点でいうと、温泉旅館が魅力だ。由緒ある老舗旅館は別として、古くからある旅館では、1泊2食で1万円以下というところが意外と多い。私はそういう宿に好んで泊まっている。

「部屋食」を楽しめる旅館も

“1泊2食で1万円以下”と聞くと、料理などたいしたことはないだろうと想像すると思うが、これが予想外に食べきれないほどの量だったりする。もちろん、揚げたての天ぷらだとか地元で採れた新鮮な魚などを期待してはいけない(驚くことにそういう食事を出すところもあるが)。

うれしいことに食事を部屋で出してくれる宿も多い。一人旅、こじんまりした和室にテレビや布団と食事がそろっている図というのは、幸せ以外のなにものでもない。

安さでいえば、伊東園ホテルズのように、施設が老朽化した旅館やホテルを再生させて格安で展開している業態もある。私も利用したことがあるが、バイキングなどあらかじめシステムを理解したうえで宿泊すると大変楽しい。

また、古い宿は源泉かけ流しというところも多い。その場合、温泉はほぼ24時間の利用が期待できる。なるべくこういう宿を探す。夜中にふと目覚めて、消灯された館内をそろそろと歩き、誰もいない湯船に浸かるうれしさ。得てしてバスやトイレは共同だが、温泉旅館なのでそもそも部屋に風呂は必要ない。

それにしても1万円以下の料金で本当にいいのだろうか、と思うことは多々ある。ちょっと考えただけでも従業員の人件費、燃料代をはじめとする光熱費、固定資産税、設備投資と減価償却費、修繕費、それに予約サイトへの手数料等々。

私は道東の弟子屈町にある摩周温泉が好きでよく訪れている。約30年前、学生時代に行ったときは賑わっていた記憶があるのに、現在は人通りも少なく、廃墟となった旅館が目立つ。

つい近年まで利用したことのある宿も廃業してしまい、民宿などの小さな旅館を除けば温泉旅館は1軒となってしまった。

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