アップル「匿名認証機能」がもたらす巨大衝撃 「Facebookでログイン」はもう不要になる?

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6月3日に開催された「WWDC19」で発表された「Sign In with Apple」について解説する(筆者撮影)

カリフォルニア州サンノゼ市で6月3~7日(アメリカ時間)に開催されたアップルの開発者向け会議「WWDC19」では、同社のさまざまな製品の基礎となる技術の更新が発表された。表面的には製品ジャンルごとの改良が主なニュースだが、ネットを通じたビジネスという観点では「Sign In with Apple」と名付けられた匿名ログインの仕組みが、極めて大きな影響を与える可能性がある。

サービス登録の半自動化を実現

「Sign In with Apple」は、iPhoneやiPad、Macなどを使う際に必須となるApple IDを用いることで、多様なネットワークサービスに自動登録、自動ログインする仕組みだ。

アプリを利用する際、特定のクラウド型サービスへの登録が求められることは多い。独自IDで管理する場合もあるが、登録を簡素化するためにフェイスブックやグーグルなどが提供する認証サービス(一般にシングルサインオンと呼ばれている仕組み)を利用することも多い。

「Sign In with Apple」は、そうしたシングルサインオンの一種だが、ほぼ完全な匿名性を提供するという点が異なる。異なるというよりも、他社とは真逆の方向を向いている。

アプリやサービスの利用開始時に「Sign In with Apple」を選択すると、iPhone/iPadでは、顔認証のFace ID、指紋認証のTouch IDを通じて個人認証を通過すると、自動的にサービスへの登録が行える。その際、名前を自由に設定できるのはもちろん、登録時に必要な連絡用メールアドレスがランダムに自動生成される。

この仕組みはユーザー登録や登録後のログインを簡素化するほか、メールアドレスの収集によるプライバシー侵害を伴う事業への対抗策にもなる。

このメールアドレスは、そのアプリ(サービス)を利用するためだけに生成されるもので事業者がこのアドレスにメールを送ると、アップルのサーバーがメールをユーザーに転送する。ユーザーは事業者にメールアドレスを知らせる必要がなく、またサービスから退会すればメールアドレスも無効となるため、事業者がダイレクトメールを送ったり、あるいは有効なメールアドレスのリストを転売するといったことを防ぐことが可能だ。

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