サントリー、飛躍のカギ握るビーム社買収 安い買い物になるのか

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1月14日、サントリーホールディングスが1兆6500億円という過去最大規模の買収に動いた。米国や新興国で基盤を持つビーム社の買収は、海外事業を飛躍的に拡大させるカギとなる。写真は都内で撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 14日 ロイター] -サントリーホールディングスが1兆6500億円という過去最大規模の買収に動いた。米国や新興国で基盤を持つビーム社の買収は、海外事業を飛躍的に拡大させるカギとなる。国内では、縮小する市場の中で順調にビール事業が伸長する一方、海外では飲料事業や洋酒で拡大を急ぐ。

キリンホールディングス<2503.T>との経営統合破談から4年―――サントリーの強さが際立ってきた。

酒類の国際化に遅れ

サントリーHDの2012年12月期の連結売上高は、前期比2.7%増の1兆8515億円と6年連続で過去最高を更新。13年12月期も売上高が9.1%増、営業利益が16.9%増と増収増益を計画している。

こうした好決算は、国内ビール市場での伸長が基盤となっている。しかし、少子高齢化・人口減の日本では成長に限界があり、さらなる飛躍には、海外展開の加速は避けられない。

2001年に社長に就任した佐治信忠社長は、グローバル化を目標に掲げて事業を進めてきた。2009年11月には約3000億円で仏飲料大手オランジーナを買収。子会社のサントリー食品インターナショナル<2587.T>は上場で資金を調達してから約2カ月で、英製薬大手グラクソスミスクライン(GSK)の飲料ブランド「ルコゼード」と「ライビーナ」を2100億円で取得することを決めた。

12年12月期にサントリーHDの海外売上高比率は約21%の3832億円だった。このうち飲料・食品は3034億円にのぼっており、それだけ酒類部門の国際化が遅れているということになる。

こうした中で酒類事業の国際化に向け虎視眈々と狙っていたのが、洋酒事業の海外買収だ。今回、ビーム社を買収することで、海外売上高比率は32%に高まることになる。

1兆6500億円の買収は、サントリーHDの財務を悪化させる要因となる。ただ、それでも買収を前向きに評価する声も多い。

SMBCフレンド調査センター・チーフアナリストの山口芳明氏は「蒸留酒はまだまだ高級なため、新興国の経済状況がキャッチアップするまでに強いブランドを持つことは、サントリーが自社ブランドを海外で販売するためにも大きな武器になる可能性がある」と評価。さらに新たな国に入るには、「山崎」などの自社ブランドよりは、「ジム・ビーム」など世界的に知られたブランドを突破口にする方が入りやすい、とみる。

みずほ証券・シニアアナリストの佐治治氏は14日付のリポートで「酒類事業の海外市場開拓強化は、清涼飲料子会社が進める今後の世界展開にもプラスの影響をもたらす可能性がある」と評価している。

ムーディーズ・ジャパンのセメトコ真理子氏は、今回の買収が成功すれば「サントリーの信用力上の2つの制約が、次第に改善することになるだろう」と指摘する。

1つは、手薄だった米国などでの販路獲得やプレゼンス向上による「地理的な集中度」の改善。

もう1つは、利益率の改善だ。セメトコ氏によると「ビーム社の調整込EBITAマージンは26―27%程度であり、サントリーの8―9%より大幅に高い」という。

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