自民党の「外交青書」批判、何が時代錯誤か 「憂さ晴らし」の場と化す自民党内部の議論
とくに最近の外交部会の荒れようは目を覆いたくなるものがある。日ロ関係だけではない。関係悪化に歯止めのかからない日韓関係についても出席議員から、外務省幹部らに「弱腰外交だ」「どこの国の官僚だ」「韓国とは国交を断絶すべきだ」などという罵詈(ばり)雑言に近い言葉が繰り返し浴びせられている。
日ロや日韓関係をはじめ主要外交政策決定の責任者は外相であり首相である。官僚は「政治主導」の名の下、その指示に従って政策をつくり上げていく。政策に不満があるのなら官僚いじめで満足するのではなく、同じ政治家である首相や外相を相手に議論することが筋であろう。
また追求する場も、非公開の党の部会や総務会ではなく、国会の本会議や予算委員会、外務委員会など公開の場で堂々とやればいい。ところが自民党議員は、審議促進などを理由に国会ではできるだけ質問をしない。その代わりに部会などで官僚にクレームをつける。
「族議員」から「官邸主導」へ
この構図は「自社55年体制」時代から半世紀以上にわたってまったく変わっていない。今と異なり、官僚が実質的に政策決定の主導権を握っていた時代には、特定分野に力を持つ「族議員」が各省幹部と協議し、特定団体の要求を押し込むなど不透明な政策決定が行われていた。
時代が変わり族議員という言葉も聞かれなくなり、逆に「安倍一強」「官邸主導」といわれている。主要政策決定過程において官僚機構の力が衰退し、自民党政調の影響力が抑え込まれ、首相や閣僚の力が圧倒的に強くなっている。
にもかかわらず自民党は相変わらず部会を開き、官僚を党の会議に呼びつけて、罵詈雑言を浴びせて憂さを晴らしている。自民党の党内議論が不活発になっているといわれて久しいが、こんなことを続けていたのでは、国会議員の政策力は向上しないであろう。
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