自民党の「外交青書」批判、何が時代錯誤か 「憂さ晴らし」の場と化す自民党内部の議論

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こうした経緯を見ると、2019年版で「北方四島は日本に帰属する」という部分を削除するというのは確かに大きな変化である。しかし、現在進行中の日ロ間の交渉はまさにこの部分が最大の焦点であり、ラブロフ外相らロシア側が繰り返し日本の主張を批判しているのもこの部分である。

ほかにも2018年版の「四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した基本方針の下、ロシアとの間で精力的に交渉を行っている」という部分は、2019年版の要約版では「領土問題を解決して平和条約を締結すべく、ロシアとの交渉に粘り強く取り組んでいる」と変更されている。

「四島の帰属の問題」という表現を「領土問題」に変えたのも、「北方四島は日本に帰属する」という表現の削除と同じで、ロシア側の反発を買うことを避けるための配慮であることは間違いない。

自民党部会は議員の不満のはけ口に

ただ、北方領土問題に対するロシア側の強硬な姿勢に変化はなく、日ロ交渉が順調に進んでいるとはとてもいえない状況にある。「青書」の表現を穏便なものに変えたからといって、ロシア側の対応が柔軟になることはまったく期待できないだろう。

外務省の幹部は筆者に対し、「ラブロフ外相らロシア政府は、記者会見などの場で日本政府批判や強硬論を繰り返している。しかし、肝心なのはロシアとの交渉で結果を出すことである。外野席の雑音はできるだけ耳に入れないようにしている」と語ってくれたことがある。

私が疑問に思うのは岸田政調会長をはじめとする自民党議員の対応である。政府の重要政策を説明する場でもある自民党の部会には首相や閣僚は出席しない。説明役はもっぱら各省の局長ら幹部だ。部会は議員らが政府の説明に対して、批判したり注文をつける場になっているのだが、しばしば不満のはけ口になっているのだ。

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