「体罰で子供しつける」が許されない納得の理由 うつ病や依存症になるリスクが高くなる

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タイムアウトとは、子どもをその場からいったん離して、1人にさせる時間をとる方法です。あまり長時間になると、罰ではないのに「罰を受けている」というネガティブな感情を惹起させることになるので数分程度にしましょう。

例えば、ほかの子どもに暴力を振るうというのは、「好ましくない行動」ではなく「絶対によくない行動」です。このような行動をとった場合、タイムアウトを宣告したうえで、あらかじめ決めた場所に連れて行き、1人で冷静になる時間をとらせます。タイムアウトは「シンキングタイム」とも表現されることがあります。興奮状態に陥っているような場合には、何を言っても頭に入らないので、とにかく冷静になるまで待つということも必要なのです。

親子ともに達成感を得るには

ただ、事前にルールをわかりやすく説明しておいても、子どもがあらかじめ決めた場所に行かないこともあると思います。タイムアウトは罰ではなく、子どもはもちろん親のほうも冷静になることが目的なので、場所にこだわりすぎないことも大切でしょう。親が別室に移動するのも1つの対応ですが、子どもが「見捨てられた」と感じないよう予告してから行ったほうがいいと思います。

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そして冷静になったら、なぜそのような行動を起こしたのか(子どもには子どもなりの理由があります)、次に同じことが起きたらどう振る舞うべきか、シミュレーションします。ときには「ロールプレイ」として、保護者や教師が相手役をして同じようなシチュエーションを再現し、子どもに「とるべきであった適切な行動」を練習してもらうのです。もちろん、きちんとできたらしっかり褒めましょう。

体罰は、「好ましくない行動」と「絶対によくない行動」を罰によって減らすという方法ですが、このペアレント・トレーニングの「行動のタイプ分け」は好ましい行動を褒めることによって増やすという方法です。人間が1日に行える行動は限られています。「好ましい行動」が増えれば、必然的に「好ましくない行動」「絶対によくない行動」は減っていくというわけです。しかも、体罰での指導よりも、指導する側もされる側も効果を実感でき、親と子どもの双方が達成感を得られるでしょう。

発達障害の子どもだけでなく、すべての子どもへの指導に使えるので、ぜひ参考にして日々の子育てや教育に取り入れてみてくださいね。

姜 昌勲 児童精神科医・臨床心理士

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きょう まさのり / Masanori Kyo

医学博士。1970年、大阪府東大阪市生まれ。総合病院、大学勤務を経て、現在は奈良市にある「きょうこころのクリニック」院長。『児童精神科医が教える 子どものこころQ&A70』(遠見書房)など著書多数。BLOG:きょうクリいんちょうブログ
 

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