狙うは世界。グノシー支えたデザイナー集団 デザインを制す者が、ウェブを制す

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「UIこそが差別化になる」アメリカでの衝撃

そもそも、なぜ今、UIが重要なのか。

土屋 尚史(つちや・なおふみ)
株式会社グッドパッチ代表取締役兼CEO。大阪のウェブ会社を経て、サンフランシスコに本拠地を置くデジタルエージェンシーbtraxにてインターン。帰国後、株式会社グッドパッチを起業。

「日本でも、今でこそUIの重要性は認知されているかもしれません。しかし、アメリカではかなり以前から、UIを重視することが当然でした」

グッドパッチ代表取締役兼CEO土屋尚史氏はこう語る。2年半ほど前、サンフランシスコのbtraxというウェブ会社で働いている間に、毎日のように開かれる起業家たちのピッチイベントに参加し、スタートアップの製品やサービスを見る機会を作った。そこで見た光景に、愕然としたという。日本と異なり、ほとんどのスタートアップが最初からウェブサービスでもアプリでも、UIの部分にかなりの力を入れていたのだ。

「そもそも、日本とアメリカでは、サービスの開発方法がまったく違うのです。日本では、機能を付け加えて、できることを増やしていく。しかしアメリカでは、とにかくそぎ落とす。なるべくシンプルに、いちばんコアな欲求を最大限に満たせるように、デザインしていく。トップのCEOが『UIこそが差別化になる』ということを強く意識していました」

こうした現状を見て、日本から世界中の人に使ってもらえるサービスを作るためには、UIに力を入れなければいけないときが、必ず来ると感じたという。UIデザインの重要性を信じ、サンフランシスコから帰国後、UIをひとつの軸として起業した。

「デザインパートナー」として急成長

グッドパッチは、現在、UIのデザインを専業で行っている。グッドパッチの仕事のかかわり方の特徴は、上流工程から顧客と一体となって進める点だ。「そのサービスのコンセプト・価値は何なのか?」「どうやったらユーザーにいい体験を届けることができるか」というサービスのコア部分を、デザインパートナーとしてとことん考え抜くという。単なるデザイン会社だと思われることが多いそうだが、大事にしているのは「どこまでパートナーとして近づけるか」という一体感だ。

次ページ立ち上げ期の危機を救った会社とは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事