「関西支社に欠員が出て、僕がしばらくの間向こうに仕事のサポートに行かないといけなくなったんだ。数カ月間は会えなくなるけど、これも会社から期待されている人事だから」
そして、関西に赴任してからというもの、毎日やり取りしていたLINEも間隔が2日、3日と空くようになっていった。今度こそ結婚できると思っていたのに、関係が終わっていくのを感じた。
「あるとき、友達夫婦と飲んでいた席でこの話をしたんです。そうしたら、友達のご主人が、『本当に関西に転勤したのかな。その話おかしくないか』って言うんです。そう言われてこれまでの付き合いを冷静に振り返ってみると、確かにおかしなところがたくさんあったことに気づいたんですね」
デートは、ウィークデーの夜のみで、土日に会うことはなかった。また、佳代子の1人暮らしのマンションには遊びに来るのだが、「会社の寮に住んでいる」という理由から、彼の住んでいるところには一度も行ったことがなかった。
彼の会社に電話をかけてみたら…
「友達のご主人が、『そもそも40人規模の会社に寮が存在するのかな』と。それでご主人が、翌日、仕事関係者を装って彼の会社に電話をかけてくれたんですね。以前もらっていた名刺の東京本社の番号に。そうしたら、関西にいるはずの彼が東京で仕事をしていました」
ここでもだまされていたとわかった。
男性にしてみたら、アプリで出会った年上の女性と3カ間遊び、そろそろ潮時だと思って架空の転勤話をでっち上げて縁を切ろうとしたのだろう。
「彼が既婚者だったかどうかは定かではありません。でも、ウィークデーの夜しか会えないし、住んでる場所も教えてくれなかったのだから、おそらく結婚していたのだと思います」
アプリなどで知り合った男性が数カ月後に突然遠方転勤になるのは、女性と別れるときに使う常套手段の1つだ。
そのほかにも数カ月女性を遊び倒し、そろそろ手を切りたいと思ったときに、やたらと暴言を吐くモラハラ男に豹変することがある。そうすることで女性の気持ちが疲弊し、「この人と結婚しても幸せになれない」と、女性から別れを切り出すようになるからだ。
佳代子のように30代に入って女性たちの多くが、必死で婚活しているにもかかわらず、なかなか結婚できずにいる。20代で結婚を真剣に考えていれば、時間への焦りもないし、生活圏内で結婚相手を見つけることができる。しかし、30歳を超えると周りには既婚者が増え、生活圏内での出会いがガクンと少なくなるのが現状だ。
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