中国人が山ほど金使う「日本観光」の残念な実情 富裕層を取り込む「グルメ・ツーリズム」とは
1週間程度で回る上記ツアーの料金は航空券代と宿泊代・飲食代で少なくとも100万円はくだらない。それだけではなく、中国人富裕層は、買い物欲も旺盛なので地方にとってはビッグチャンスだ。
お土産の最近のトレンドは、高級日本酒がダントツの人気だという。すでに「獺祭」は中国でも有名になりすぎたため、中国人富裕層の間では1本10万8000円(税込み1800ml)の喜久水酒造の大吟醸「朱金泥能代醸蒸多知」が人気だ。それには2つの理由がある。
1つは、「いちばん高いもの=いちばんいいもの」「高いもののほうがコレクションとしての価値がある」という考えが普通であること。2つめが、中国人富裕層は酒をコレクションする趣味を持つ人が多いということ。ウイスキーやワインでは値段が青天井だが、日本酒や焼酎を酒のコレクションとして考えたときに相対的に価格が安いという心理が働くのだという。
こうした買い物も含めると、1週間程度の滞在で、1人当たりの消費支出は平均200万~300万円にも達する。
日本の課題とは何か
こうした中国人富裕層の地方観光の事例は、地方経済に貢献するポテンシャルの高さを感じさせる。ただし、彼らを呼び込み、満足度を高めるためには、いくつかの課題もある。
Aさんだけではなく、ほかの訪日中国人富裕層を対象としたビジネスをしている人たちの話を聞くと、「高級旅館」のイメージに合致する地方の旅館がほんの一握りしかないという。
現状では、「部屋は古くてタバコ臭いが、伝統がある旅館だし、温泉の質がとてもよいので、(そこは目をつぶって)楽しんでください」と説得するしかないという。
今の多くの旅館の施設や接客は、残念ながら富裕層向けではない。これからの地方インバウンド政策を検討する際、富裕層、あるいは訪日外国人のニーズを取り入れ、変えていく必要があると思われる。
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