結論は3年後?意見百出の上場基準見直し 早期見直し論者の清田CEOはトーンダウン

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なぜか。C市場では日本語と英語による同日情報開示など、海外投資家の利便性を向上するための厳しい義務が課されそうだ。したがって、時価総額が大きい企業でも海外保有比率が低い企業は、C市場上場のメリットを感じにくいかもしれない。そういう企業はA市場を選ぶ可能性がある。

「ドメスティック市場とプライム市場の2つに区分を分けたフランクフルト証券取引所では、一定の上場基準を満たしていても、英語での情報開示や四半期開示の手間を嫌ってプライム市場に上場しない会社もある」(東証幹部)

上場・降格基準は「何も決まっていない」

新たな市場区分では市場間の昇格と降格が活発になりそうだ。時価総額を例にとると、現在では250億円あれば1部に直接上場でき、2部やマザーズからなら40億円あれば1部に昇格できる。一方、1部から2部に降格するのは、時価総額が20億円未満になった場合だ。

平たく言うと、降格基準のほうが上場・昇格基準よりも緩い。当然のことながら、降格社数は上場・昇格社数よりも格段に少なくなる。今回の見直しでは、C市場への上場・昇格基準とA市場への降格基準を統一する。たとえば「時価総額250億円以上」が上場・昇格基準なら、A市場への降格基準も「時価総額250億円未満」となる。これにより、昇格・降格が活発になる。

問題は上場・昇格と降格の基準となる時価総額をいくらに設定するかだが、日本取引所グループの清田瞭CEOは3月28日の定例会見で「250億円、500億円、1000億円という声が飛んでいたが、今、これといった数字を念頭に置いてはいない」と発言した。

ある機関投資家によれば、「時価総額500億円でいったん落ち着きつつあったが、同250億円まで押し返された」。ところが東証幹部も清田CEOも「何も決まっておらず、具体的な数値基準の議論はこれからだ」と繰り返す。

東証幹部によれば、今回の「論点整理」は第1段階にすぎないのだという。今後、オープンな場を設けて市場関係者にさらに幅広く意見を聞く第2段階、その議論を具体的な上場基準に落とし込む第3段階、さらに細かい上場規則を改訂する第4段階があるという。これらの段階を丁寧に経ようとすると少なくとも今後2、3年はかかる。

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