起こるべくして起きた、靖国参拝という大事件 膨張する「嫌中国・韓国」感情の裏にあの男

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二階氏は9月11日、五輪に血道をあげる首相にこう注文をつけ、官邸サイドと鋭く対立した。これをきっかけに、二階氏の人事が敢行された、という観測が、自民党内で飛び交っている。

衆院予算委員長は「国会の司令塔」と評されるほど、国会運営のカギを握る重要な立場だ。しかし、二階氏が適任かどうかと問われれば、首をかしげてしまう。

自他ともに認める「建設族のドン」である二階氏は、総額200兆円もかけて国内のインフラを整備する「国土強靭化計画」の旗振り役である。公共事業の受注を狙って近づいてくる関係者は少なくないはずで、そこに莫大な利権が発生することも想像に難くない。

安倍官邸は、そんな二階氏を国土強靭化計画から遠いポジションに置いた。畑違いの役職に“封じ込めた”とみるのが自然だ。かつて、野中氏と小沢氏、二階氏は、今でこそ袂を分かったが、自民党と旧自由党による連立政権では中核にいた。そして何より、中国とパイプを持つという点も共通するのである。

実力者である二階氏の処遇に、親中派コネクションの決起を恐れる首相の姿がちらつく。そもそも、本気で中国や韓国と折衝したいなら、二階氏をパージする必要はないのだ。

世間に迎合するだけでなく、「わが世の春」を確固たるものにするために、中国、韓国との関係改善を放置しているとするなら――。隣国とのビジネスで苦心惨憺する日本企業にとって、これほど空しいことはない。

高橋 浩正 ジャーナリスト

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たかはし こうせい / Kosei Takahashi

大手新聞社で政治記者としてキャリアを積む。

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