起こるべくして起きた、靖国参拝という大事件 膨張する「嫌中国・韓国」感情の裏にあの男
官邸サイドが初めて、小沢氏周辺からそんな情報を入手したのは9月中旬だったという。「やはり安倍内閣の外交が行き詰まった。これを火種にして、何とか安倍を引きずり下ろす手はないか」。漏れ伝わる会話からは、内閣を退陣に追い込む“共闘プラン”を探っていることがうかがえる。そのため、彼らの動向を注視せざるをえないようだ。
とはいえ、野中氏は引退から10年。政界への影響力はそうとう薄らいでいる。小沢氏も今や弱小政党のトップで、次期衆院選に出馬しない可能性がささやかれるほどだ。自民党閣僚経験者の言葉を借りるなら、2人とも「終わった政治家」である。一方、安倍内閣の支持率は、特定秘密保護法案の採決強行で大きく落ち込んだものの、アベノミクスへの期待や東京五輪の招致成功などによる“貯金”が大きく、いまだ堅調。弱小の「野中・小沢同盟」を気に留める必要など、まったくなさそうに見える。
ところが、そうタカをくくれない背景がある。野中氏のバックには、自民党内で冷や飯を食らっている、リベラル派議員が控えている。さらに、内閣改造や党役員交代が先送りされ、政権運営に対して党内が抱く不満の“ガス抜き”として使えるはずの人事も滞留している。
反・安倍勢力の足音
今や自民党は「安倍一強時代」と揶揄されるほど、一色に染まってしまった。麻生太郎副総理や石破茂自民党幹事長も、「出るクイは打たれる」より「長いモノには巻かれろ」とばかりに鳴りを潜めてはいるが、安倍首相の後継を狙う意欲を周辺ににじませている。そうすると、まるで向かうところ敵なしのように見える安倍首相だが、現体制が自民党内に抱える“不安要素”は驚くほど多いことがわかる。
野中氏と党内リベラル派に触発される形で、倒閣運動が首をもたげる可能性がくすぶる。そこに、いくら落ちぶれたといはいえ、百戦錬磨の小沢氏がかかわったら――。
こうした動きを気味悪がったためか、官邸は親中・親韓議員から“権益”を奪おうと躍起になっている。象徴的な例が、10月15日に衆院予算委員長のポストに“飛ばされた”と目される二階俊博衆院議員だ。
「あれだけスピーチの練習をしていくのであれば、中国や韓国に対してもスピーチを練習したらどうか。五輪招致のために努力した情熱の半分でもいいから、いろいろ努力すべきだ」
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