アメリカで「エリート街道を歩む子」の進学事情 「日vs米」受験競争どちらが過酷?(前編)

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ニューヨークの教育熱心な家庭では、幼児のうちから「プレスクール」に通わせるのが一般的。5歳からは義務教育課程の「キンダーガートン(幼稚園)」に入学する。日本の小1から小5に相当する5年間が「エレメンタリースクール(小学校)」。同じく小6から中2に相当する3年間が「ミドルスクール(中学校)」。中3から高3に相当する4年間が「ハイスクール(高校)」。

この「5・3・4」制は、アメリカでも特に都市部で発展した学校制度。義務教育は15歳まで。キンダーガートンからハイスクールまでの教育課程を一般に「K-12」と呼ぶ。「12」とは小学校から通算しての「第12学年」の意味である。その上が大学だ。

富裕層は、プレスクールやキンダーガートンの段階から、「名門私立」を選ぶ。日本で名門私立幼稚園や小学校を「お受験」するのと同じだ。ここでも卒業生の子どもは優遇される。望み通りの学校に入れなかった場合、通っている学校でつねにいい成績を取り、編入制度で望み通りの学校に入り込むチャンスを狙う。

どこかで“エリート街道”に合流しさえすれば、「第12学年」までは安泰だ。名門大学進学に向けて、余裕をもって“対策”できる。“対策”については、渡辺さんの証言をもとに後編で詳述する。

公立学校を進学する場合には、日本のような一発試験による中学受験や高校受験はない。学校の成績で、次の段階の進学先が割り振られる。例えば小4時点での成績で、どこの公立中学校に行けるのかがだいたい決まる。逆に言えば、公立中学の中にも明確に“ランク”があり、子どもたちは選抜されるのだ。

ニューヨークには4つの公立エリート高校が存在する。アート系に強いラガーディア、工学系に強いブルックリンテック、サイエンス系に強いブロンクスサイエンス、そしてトラディショナルな進学校スタイヴェサントだ。これらの学校に入れれば、名門大学への道も見えてくる。

マイノリティーが“エリート街道”に合流する秘策

「多様性の中でたくましく育ってほしかったから、最初は子どもたちを普通の公立小学校に入れました。でもリーマンショック以降、経済の悪化が影響したのでしょう。どんどん学校の中がすさんでいきました。また、選挙の結果によって教育方針が大きく変わることにも不安を覚えました。

一方、私立学校はこちらでは『インディペンデント・スクール』(独立学校)と呼ばれ、独自の教育内容からブレません。しかも、やはり、名門大学への進学は、私立学校が圧倒的に有利。だから教育熱心な家庭は私立に入れたがるのかと、納得しました」

とはいえ、私立学校に通うには年間400万円以上の学費がかかる。何代にもわたってアメリカで資産を築いた家系か、アメリカン・ドリームを引き当てた親でない限り、到底通わせられない。“エリート街道”を進むには、とにかくお金がかかる。これがアメリカの格差社会の現実だ。

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