LCC最後発のJAL、バンコク&ソウル便の皮算用 将来は北米、ヨーロッパ路線も視野に

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JALが発表した新LCCは「ZIPAIR Tokyo」。「ピーチ」や「バニラ」のようにポップな傾向が強いLCCブランドのイメージとは一線を画し、シンプルさを打ち出した(撮影:尾形文繁)

LCC(格安航空会社)に新風を吹き込めるか。

国内エアライン大手の日本航空(JAL)は3月初旬、2018年に設立を表明していたLCC子会社の名称や就航路線などを発表した。その名は「ZIPAIR Tokyo(ジップエア トーキョー)」。ZIPは、矢が素早く飛ぶ様子の擬態語だ。開業は成田発着でバンコク、ソウルへの2路線から。2020年夏ダイヤ中(3月29日から10月24日)、同年7月の東京五輪開幕前の開設を目指す。

価格は、JALのようなフルキャリアサービス(従来型のエアライン)のエコノミークラスの半額が目安だ。JALの通常のエコノミークラスで成田―バンコク間を往復(3月15日金曜日成田発、3月17日日曜日バンコク発)すると、3月12日時点で20万円程度。機材については、中型機でありながら航続距離が長く、東京から北米各都市やロンドンなどへ直行できるアメリカ・ボーイング787型機2機を用いる。

競争激化で中距離参入のLCCが増加

機材は今後、年に2機ずつ増やす方針で、「大西洋ではすでにたくさんのLCCが運航しているが、太平洋を渡っているところはない。アジアからアメリカ本土に飛ぶ最初のLCCになりたい。欧州もぜひやってみたい」とジップエアの西田真吾社長は意気込む。アメリカ西海岸には2021年夏ダイヤ中にも路線を開設する方針で、欧州も同社が以前から掲げてきた目玉路線になる。

ジップエアで注目すべきは、いまだ世界のLCCビジネスで明快な成功事例がない「中・長距離路線ブランド」を目指していることだ。では、どのような「勝利の方程式」を思い描いているのか。

シンガポールのスクートは2019年5月いっぱいで、関空―ホノルル線を運休する(撮影:尾形文繁)

低価格のLCCが利益を生み出せる秘密は、成田発だとソウルや台北、遠くてマニラといった片道4時間程度までの短距離路線を多頻度で運航し、機材回転率を最大化することにあった。世界各地の短距離路線で競争が激化したため、近年は市場開拓を狙う欧州やアジアの大手航空会社が中・長距離の路線を運航し始めていた。

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