4月開始「有給休暇の新ルール」の大事な基本 正社員は?パート社員は?
パート社員の場合はどうでしょうか。正社員より少ないと思う人もいるかもしれませんが、実は週5日以上の労働日であれば正社員と同じ日数が発生します。有給は労働日数によって決まるためです。週5日間、1日1時間だけ勤務しているパート社員の場合であっても、全労働日の8割以上の出勤を満たした場合、正社員と同じく10日の有給休暇が発生するのです。
ただし、これは労働日数次第となります。週の所定労働日数が4日以下で、かつ、週の労働時間が30時間未満のパート社員については、付与日数が比例的に少なくなります。これを「比例付与」といいます。
週に1日だけ勤務しているパート社員の場合、もちろん年次有給休暇は発生しますが、比例付与に該当します。例えば、週1日勤務で6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上の出勤を満たした場合だと、6カ月後に1日の年次有給休暇が発生することになります。
次に、年次有給休暇の「取り方」について、よくある疑問について取り上げたいと思います。
ひとつは、年次有給休暇をいつ取るかということです。実は、年次有給休暇の日程を、指定している会社もあります。この扱いを法律上は「計画的付与」といいます。
計画的付与は、会社と労働者の代表が協定を結ぶことで成立します。その方法には、
などがあります。
計画的付与の対象となる日数は、個人の持ち日数の5日を超える部分となります。個人の権利として最低5日は残しておかなければなりません。計画的付与によって成立した日程は、労働者の都合や会社側の都合によって変更することはできないことになります。
部下に有給取得の目的を聞くのはNG
また、年次有給休暇を取得する際、申請用紙に「利用目的」を記入するという会社があります。また、忙しい部署では、上司が「その有給休暇、何に使うの?」などと聞いてくる場合もあります。
例えば、大好きアイドルユニットのレアな握手会がたまたま地方であり、何とかして行きたいと考えた場合、職場で言いづらいので、つい「親戚の法事」などと、適当な理由を伝えた経験がある方も多いと思います。
しかし、年次有給休暇を何に使うかは、使用者が干渉するべきことではありません。これについては最高裁判所の判例(弘前電報電話局事件)でも明確に示されています。この事件では成田空港反対現地集会に参加して、違法行為に及ぶ恐れがある従業員に対して、そのことをもって有給休暇を認めなかったという事例です。これは、年次有給休暇の利用目的から逆算して、当該日の有給休暇の取得を承認することとなり、許されることではないのです。
つまり、年次有給休暇の取得目的を具体的に記入させることは法律の趣旨からいえば、たとえそれが便宜上の要請からだとしてもあまりよいこととはいえません。ましてや、上司が部下の年次有給休暇の「利用目的を聞いたうえでその取得を承認」するようなやり方があるとしたら、明らかに法律違反であるといえます。年次有給休暇をどのような目的で利用しても、使用者(会社)はそれについては干渉してはならないのです。
以上、年次有給休暇の発生、そして取り方についてご紹介しました。有給が取りたいのに取れないと嘆く人が、しっかり取れるようになることを祈っています。
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