《MRI環境講座》第7回 オバマ政権で米国はグリーンな国になるか?
1月20日より米国にバラク・オバマ新政権が誕生する。オバマ氏は大統領選挙では、「Change(変革)」を最も重要なメッセージとして掲げてきたが、エネルギー・温暖化政策についても現ブッシュ政権の政策からの大幅な転換が予想され、オバマ政権の下で、米国が“グリーン化”することが期待されている。果たして、米国は本当にグリーン化するのか。また、オバマ政権の誕生は、日本のエネルギー・温暖化政策にどのような影響を与えるのか--。
■地球環境問題に後ろ向きのブッシュ現政権と、積極的なオバマ新政権
08年11月4日、シカゴで行われた当選受諾演説で、オバマ氏は、以下のように述べた。……You did it because you understand the enormity of the task that lies ahead. For even as we celebrate tonight, we know the challenges that tomorrow will bring are the greatest of our lifetime−two wars, a planet in peril, the worst financial crisis in a century
地球環境問題をアフガン・イラク戦争、金融危機と同列に扱うなど、温暖化問題に対する積極的な姿勢を示している。
また、11月19日にカリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー知事をはじめとする各州知事の主催により開催されたGoverner’s Global Climate Summitに向け、オバマ氏が発したビデオメッセージには、以下のような、温暖化対策に対して非常に積極的な内容が盛り込まれていた。
・温室効果ガスを2020年までに1990年レベルまで削減、2050年までに1990年比80%まで削減する
・連邦レベルのキャップアンドトレード制度を導入する
d ・地球温暖化対策分野における国際協調路線へシフトし、国際社会において米国が同分野における国際協力をリードする
・同分野における協力促進のため、各国政府・団体向けの支援を行う
それでは、オバマ政権では具体的に現ブッシュ政権から何が変わるのだろうか。以下に、主なエネルギー・温暖化政策についてのオバマ氏の政策と現ブッシュ政権との政策を比較した。
ほとんどの政策において違いが見られるが、何より、根本的な姿勢-現ブッシュ政権では常に後ろ向きの姿勢で、めぼしい政策をほとんど導入しなかったのに対して、オバマ氏は温暖化問題を重視し、積極的に取り組もうとする点-が全く異なることが印象的だ。
その他の政策も踏まえて、オバマ氏のエネルギー・温暖化政策の方向性を大きく整理すると以下のようになる。
・温暖化問題を優先的に取り組むべき重要な危機と認識している
・温暖化対策には国際協力が不可欠と認識し、国際協調路線への転換を目指す。また、失われた米国のリーダーシップを回復する
・大幅な削減目標を達成するためのインフラとして、義務的な排出量取引制度(キャップ&トレード)を導入する
・温暖化対策を新たな産業活性化、雇用創出のための機会と捉え、積極的な投資を行う
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