「怒り」で仕事が手につかない人のための処方箋 ネガティブな気持ちは自分も他人も傷つける
言い換えれば、チームで成果を上げたいと思うなら、どこかでこの悪いサイクルを断ち切っていく必要があるわけです。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い
職場の上司や同僚に対して「許せない!」と感じているときには、必ずその職場全体に、人間関係の悪循環が起きている。もちろん例外はありますが、まずはそう考えておいて、間違いないでしょう。
ではどうやって、その悪循環を断ち切るか? これは結局、あなた自身の中にある「誰かを断罪する気持ち」を払っていくしかありません。
「え!? どうして私が変わらなければいけないの? 悪いのは向こうなのに!」
そうおっしゃる気持ちも、よくわかります。でも、まさにその「悪いのは向こうなのに!」という気持ちこそが、職場の空気をさらに悪いほうへと押し流す「アクセル」となってしまうのです。ですからまず、あなたの中のネガティブな思いを払い、明るい自分を取り戻すことが必要なのです。
この知見を押し付けるつもりはまったくないのですが、もしも自分の心が落ち着き、明るくなってくれば、だんだんと苦手な相手のことも気にならなくなってきたり、あるいは許せるようになってきたりすることが起こりえます。
というのも、相手を許せるようになれば、相手も自分も、パフォーマンスが上がってきます。そうすることで、職場に根付いてしまった「悪いサイクル」を少しずつ、いい方向に変えていくしかないんです。
私たちは、相手のことを「許せない!」と感じ始めると、その人の言動のすべてが、癪(しゃく)にさわるようになります。他の人だったらなんとなくスルーできる言葉が、「なんでそんな言い方するのかなあ……」と引っかかるようになる。そうすると、毎日がストレスでいっぱいになっていきます。
「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い」という言葉がありますが、人というのは、一度誰かのことが苦手になると、相手の「悪いところ」ばかりに目を向けてしまうようになるのです。こうなると、地獄です。というのも、どんな立派な人であっても、探せば悪いところというのは、いくらでも見つかるものだからです。
怒りに囚われると、ただでさえ狭い私たちの視野が、さらに狭まります。腹が立てば立つほど、「こんなひどい人間がこの世にいるのか」というぐらい、許せなくなっていくわけです。