「自分を大きく見せたがる人」の危なすぎる心理 競争社会が生み出した「優越欲」の弊害
若い信者たちがこぞって罪を犯した背景には、自分の存在を大きく見せたい、上に昇りたいという優越欲求と、尊師に認められたいという承認欲求を巧みに利用され、お互いの競争意識の中で犯罪に突っ走ったという構図があります。
法を犯す人の心理を探ると、多かれ少なかれそのようなマインドコントロールが影響していると言われますが、それは決して反社会的な集団や犯罪集団の中だけに見られることではない。今の世の中にもよくある構図だと岡田氏は指摘します。
例えばIT企業だとか証券会社といったイケイケの会社などは、マインドコントロール的な要素がかなり高いと想像できます。個人の成績をグラフにして貼り出し、成績のいい人と悪い人がひと目でわかるようにする。競争意識を刺激しながら、毎朝社訓や目標を大声で唱えたり、成績優秀者を皆で讃えたりといった一種の儀式を行う。
そんな中にいると、次第にそのルールの中で少しでも上に行くことがすべてのような感覚に陥ってしまい、これが極端になるとブラック企業のようなものにつながる可能性もある。今のビジネス社会そのものに、マインドコントロール的な部分があるわけです。
ポイントは、自分を大きく見せたい、飾りたいという意識が強い人ほど、このカラクリにすっかりはまってしまうことです。コントロールする側が仕掛けた評価制度や競争原理によって、まるで車輪の中のモルモットのように延々と走らされ続ける。
私たちの社会には必ず何らかの階層があり、そこではい上がっていくにはそれなりのルールや評価体系、制度があります。社会というものが本質的にそういうものである限り、私たちはマインドコントロールから完全に自由であることは難しいかもしれません。
ただし、そういうものにどっぷりと浸るのではなく、引いた目線でそのカラクリを認識しておく。どこか冷めた目で世の中を客観視し相対化することが大事です。そういう目線を持っていれば、極度に自分を飾ろうとする意識も多少和らぐのではないでしょうか。
優劣意識から離れてしまえば、知らないことを知らないと言えるようになる。飾らず、ありのままの自分をさらけ出すことに抵抗感もなくなってくるはずです。
身分制度の廃止が「競争社会」の原点
競争社会が飾ることを促す構図に触れましたが、これは近代以降の社会の変化と大いに関連があります。近代以降、封建的な社会から民主主義、自由主義の社会に転換していくわけですが、これによって身分制度が廃止され、社会がフラット化したことが大きい。
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