「狂ったアメリカ」は無限に世界を振り回す

「トランプ現象が腑に落ちる」500年の建国史

アメリカという国家の成り立ちには、「自分だけの現実」を求める思想が深く関わっていた(写真:gilaxia/iStock)
なぜ、アメリカ国民はドナルド・トランプ大統領を支持するのか。そこにはトランプとアメリカ建国の祖ピルグリム・ファーザーズとに共通するDNAがあるという。
ニューヨーク在住のジャーナリスト・津山恵子氏が、全米ベストセラーとなった『ファンタジーランド』(上・下)から現代アメリカの病理を読み解く。

なぜ、アメリカは戦争が好きなのか

「なぜ、まだトランプ大統領を支持する人がいるんですか」

ニューヨークに住んでいて、日本に一時帰国すると、必ず聞かれる質問だ。『ファンタジーランド:狂気と幻想のアメリカ500年史』は、その疑問に明快に答えてくれる。ずばり、アメリカは、理性的ではなく、脳みそを失った国民から成る「ファンタジー」の国なのだ(同書)と。

『ファンタジーランド:狂気と幻想のアメリカ500年史』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「アメリカは、グローバリズムと自由主義の旗手のはずなのに、なぜ現状に至ったのか」と思う人は、この本を読めば、納得できるに違いない。大統領が言うウソや間違った情報を鵜呑みにする国民がいるアメリカの現状だけでなく、以下のような不可思議な現象にも、本書は答を与えてくれる。

「悲惨な銃乱射事件が続いても、なぜガン・クレージーな人々が減らないのか」

「ありえない想定の映画『インデペンデンス・ディ』(アメリカ合衆国が宇宙からの侵略者から世界を守る)やTVドラマが、なぜ大ヒットするのか」

「リベラルで高学歴の若者が、なぜ異常なまでに遺伝子組み換え(GMO)ではない食品を探すのか」

「なぜ、アメリカは戦争が好きなのか」

本書によると、ファンタジーランドに住む人々、つまりアメリカ人の信条は、異様に進んだアメリカ的な個人思想、それに支えられる妄想や空想で、恐ろしいことにそれが現実生活を支配するまでになっているという。なぜか。

その背景は、アメリカの建国前、今から500年前にまでさかのぼる。私たちの教科書では、新大陸の歴史は、イギリスのピルグリム・ファーザーズの上陸(1620年)から始まる。アメリカの教科書でもそうなっている。

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