アメリカが沸く「平均年齢20歳バンド」の凄み ロック界期待の星、グレタ・ヴァン・フリート
「レッド・ツェッペリンの再来」「彼らこそロックの未来だ」――。平均年齢弱冠20歳のハードロックバンド「Greta Van Fleet(グレタ・ヴァン・フリート)」にアメリカの音楽業界が沸いている。
アメリカ・ミシガン州出身の双子の兄弟、ジョシュ・キスカとジェイク・キスカ(22歳)とその弟、サム・キスカ(19歳)、そして友人のダニー・ワグナー(20歳)という4人組のバンドがデビューしたのは2012年。2017年に全米ツアーを始めると人気に火がつき、ローリング・ストーン誌が選ぶ「知っておくべき新人アーティスト」に選ばれたほか、楽曲も立て続きにビルボードのメインストリーム・ロックチャートの1位に。昨年10月にフルアルバム「アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー」を発売すると、すぐさまビルボードの3位にランクインした。
その勢いはとどまるところを知らず、12月にアメリカの経済誌フォーブスの「2019年30歳以下の30組(音楽)」に選ばれ、その直後の第61回グラミー賞では最優秀新人賞を含む4部門にノミネートされている。
下火になったロックに久々の朗報
エルトン・ジョンはグレタ・ヴァン・フリートを「この20年聴いた中で、最高のロックミュージック」と呼び、ガンズ・アンド・ローゼズのギタリスト、スラッシュは、「ロックの未来はグレタ・ヴァン・フリートのようなバンドにかかっている」と絶賛する。
往年のロックミュージシャンが興奮するのも仕方ない。アメリカの音楽業界ではロックが「下火」になったと言われてから久しく、アメリカの調査会社ニールセン・ミュージックによると、2017年のトップ10アルバム(ダウンロード数含む)のうち、7つはR&Bとヒップホップで、音楽売り上げのトップジャンル(全体の24・5%)となった(ロックは全体の20・8%で2位)。
そんなロック界にとって、グレタ・ヴァン・フリートは、「クラシック・ロックの復活」を担う存在になるかもしれないのだ。往年のロックファンだけでなく、新たなロックファンを開拓することによって。実際、アメリカの公共ラジオ局NPRのネット版が昨年10月に掲載した「グレタ・ヴァン・フリートは、ツェッペリン好きのおやじだけにウケているわけじゃない」と題した記事では、ギターのジェイクが「ロックの全盛期を知らない若い世代も、『これは自分たち向けのロックだ』と感じている」と話している。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も、グレタ・ヴァン・フリートは、「ライブによく訪れるクラシック・ロック好きのおやじ、1960年~1970年代の音楽に興味がある若い男性、人気ロックバンドをポップスターに押し上げる力を持つ若い女性」という3つの層にアピールできるという著名ラジオDJの話を紹介している。
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