ゴーン解任へ、動き出す「ポストゴーン体制」 反ゴーン機運高まり、フランス政府も大転換

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関係見直しの論点は複数あるが、日産が悲願とする資本関係の見直しと、ゴーン氏解任で空席となっている日産会長職の扱いなどの協議が並行して進むとみられる。

日産会長職をめぐってはこれまで、「日産COO(最高執行責任者)以上の役職をルノーが推薦する権利がある」との両社間合意に基づき、ゴーン氏が経営トップをずっと担ってきた。日産は後任会長の選定を社外取締役3人に委ねているが、不正の温床となった企業統治(ガバナンス)の改善策を検討する第三者委員会で会長職のあり方を含めて議論していく方針だ。

これは後任会長を送り込もうとするルノーの要求を、委員会での議論を理由に当面先送りする日産の戦略でもある。委員会が結論を出すのは3月末。日産関係者が「ルノーからの推薦を受け入れるかは日産が判断する」と話すように、後任会長をめぐっては日産主導で協議が進んでいきそうだ。

難航必至の資本関係見直し

一方の資本関係見直し協議はかなり難航しそうだ。現在、議決権のないルノー株15%を保有する日産としては、資本面でも「対等な関係」とすることを理想としている。たとえば、20%ずつの相互出資とし、双方が議決権を持つ形だ。ただ、これまで日産に43%を出資し事実上の親会社として振る舞ってきたルノーにとって、容認しがたい比率変更には違いない。

現実的に想定されるのが、ルノーが日産株を売却して出資比率を40%以下まで低下させ、フランスの会社法によって日産のルノーに対する議決権を復活させる方法だ。この場合、長期株主を優遇するフランスの国内法で日産の議決権比率は20%超になるとみられ、より対等に近くなる。

実際、「ルノーが出資比率変更に応じる準備がある」と1月上旬にフランス国内で報道されるなど、フランス政府を含めたルノー側に軟化の動きもみられる。それ以外にも、日産への経営介入の懸念をなくすため、アライアンスの維持を条件にフランス政府がルノーから出資を引き上げる案なども取り沙汰されており、両社間でも複数案が検討されているもようだ。

自動車業界では、自動運転や電動化など未曾有の大変革が進み、業界を超えた大型提携も相次ぐ。日産とルノーの関係見直しの時期的なメドは、両社の定時株主総会が開かれる6月だ。そこから遅れれば遅れるほど、アライアンスの機能不全は長引き、大変革の時代に取り残されかねない。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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