ゴーン解任へ、動き出す「ポストゴーン体制」 反ゴーン機運高まり、フランス政府も大転換
ゴーン氏をめぐる不正が次々と明るみになってきたことも大きい。日産社内での不正だけでなく、日産と三菱自との折半出資会社から約10億円の不正報酬がゴーン氏に支払われていたことが18日、両社の合同調査で判明した。
「ルノー社内では不正は見つかっていない」ことを盾にしてきたルノー側の風向きも変わった。ゴーン氏最側近の一人であるルノー副社長に対し、アライアンス統括会社から不透明な報酬が支払われていたことも発覚。「日産と日本政府による陰謀」説さえあったフランスの世論も、もともと高額報酬に批判的だったこともあり、「反ゴーン」へ変化の兆しが出てきた。
日産社内では「ゴーン派」追放の動き
そんな風向きの変化を敏感に察したのか、日産ではゴーン氏に「寵愛」されてきた外国人幹部の間で離職する動きが出ている。その筆頭格がホセ・ムニョス氏だ。
副社長より格上のCPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)という役職のほか、日産の最重要地域の1つである中国事業の責任者も務めていた。その前は同じく最重要地域の北米事業の責任者だったが、販売台数を追うがあまりに収益性を低下させ、現在の業績低迷の「戦犯」と言われる。にもかかわらず、中国責任者に横滑りし、ゴーン氏によるいびつな人事の象徴として社内では不満が溜まっていた。ムニョス氏の退職とゴーン氏の不正との関連は不明だが、今後も日産社内から「ゴーン派」を排除する動きが強まりそうだ。
ゴーン氏がルノー会長にとどまっていることは、日産にとって最大の懸念材料だった。ゴーン氏がルノーのトップの立場から反撃を仕掛けてくる可能性が残っていたからだ。解任されれば、その懸念は事実上なくなる。日産としてはゴーン氏解任後の落ち着いた環境で、提携関係見直しの協議に入ることができる。加えて、現状の暫定的なルノー経営陣では、本格的な交渉入りが難しい側面もあったため、新経営体制の発足で提携見直し交渉が本格化していく可能性が高い。
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