クレジットカード「勝手に使われている」恐怖 サイバー攻撃は身近なところで起こっている
ところが、実際はそうではない。サイバー攻撃は日常生活の奥深くに潜み、こっそりお金を盗んだり、動画を撮影してばらまいたりするのである。
日々の行動を監視し、データを蓄積し、こちらが意図しない別の目的に利用されることも十分にありうる。しかも被害者になっていたとしても、当事者であるわれわれはそれに気づかない可能性も小さくないのだそうだ。
しかし、気がつかないとしても無理はないと著者は言う。なぜなら私たちのデータの大半は、もはやスマートフォンやパソコン自体にあるのではなく、クラウド上に保存されているかもしれないからだ。
ビジネスとして成立しているブラックマーケット
問題は、それらのデータがわれわれの管理下にないこと。データとしての自分がサイバー攻撃にさらされているという実感は薄くて当然だが、実感の有無に関係なく、攻撃にさらされている可能性はあるのだ。その結果、実体の人間としての自分に、直接、犯罪として降りかかってくるとも考えられるというのだから、やはり油断はできない。
驚かされるのは、個人情報の売買には、すでにビジネスとして成立している成熟したブラックマーケットが存在しているという事実である。端的にいえば、クレジットカードで詐欺をしようと思った人間は、メール1本でブラックマーケットから個人情報を購入できるというのだ。
さらに面倒なのは、クレジットカードを悪用した詐欺の犯罪者は、私たち個人に狙いを絞っているわけではないということ。
言うまでもなく犯罪者は、ブラックマーケットで買った情報のなかに含まれるデータを使って詐欺をする。そこに“たまたま”私たちのデータが含まれていれば、私たちが被害者になるという図式だ。
「いや、おそらくそんなところに自分の情報は含まれていないだろう」と思いたくなるのも無理はないし、私も似たような気持ちだった。だが著者は、「その考えもおそらく間違っています」とシビアに述べている。
例えば多くの人はスマホやパソコン経由で買い物や情報入手をするため、複数のサイトや企業に個人情報の登録をすることになる。現代においては、個人情報の登録をしない限り受けることができないサービスのほうが多いとも言えるだろう。しかし問題は、そこから先だ。
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