JR西の「有料通勤列車」は関西人に通用するか 「らくラクはりま」「Aシート」のコスパは…?
一方、「らくラクはりま」と同時に始まるのが、新快速列車の有料座席サービス「Aシート」だ。12両編成のうち1両に、リクライニングシートや電源コンセントなどが整備され、1乗車当たり500円で利用できる。
この車両は座席定員制(座席番号の指定はできない)で、乗車整理券は駅などでの事前購入はできず、乗車後に乗務員から購入する形(空席がない場合はほかの車両に移動)となる。
サービス開始時点では、野洲―網干(土休日は姫路)間を1日当たり2往復ということもあり、おそらく本格的なサービス展開に向けた実証実験的な意味合いが強いと思われる。
「私鉄王国」と言われるほど競争が激しかった京阪神で、国鉄が117系を投入してから約40年間、新快速は転換クロスシート車両を貫いてきた。グリーン車などの有料座席サービスがなかなか根付かなかったのは、私鉄を含めもともとのサービス水準が高いことも大きい。
新サービス導入の背景
だが、今後は少子高齢化などで鉄道利用者のさらなる減少が見込まれることから、その“穴埋め”となる増収策が必要になってくる。そういう意味で、本稿で紹介した各サービスは、快適性の向上と増収をうまくリンクさせた取り組みと言える。
首都圏でも、JR中央線でのグリーン車導入が決定し、また通勤ライナー列車の特急への格上げが行われるが、今後は関西でもこうした有料座席サービスがさらに増えてゆくかもしれない。
同時に、新快速の乗客数は増え続け、現在は終日12両編成をもってしても京都―大阪―三ノ宮間を中心に混雑しているという現実がある。有料サービスとの差別化を図るため、あるいは混雑を緩和するため、今後はたとえば新快速車両の座席を一部ロングシートにするなどの動きも考えられる。
JR西日本の新たな列車やサービスは、サービス改変の大きな布石かもしれない。そういった意味で、今回のダイヤ改正は注目すべきである。
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