性暴力の大罪を犯す腐敗国家が滅びない真因 国連の弱腰姿勢にノーベル賞医師が怒り心頭
ルワンダ政府軍は、1996〜1997年にコンゴへ侵攻(第1次コンゴ戦争)、1998〜2003年にはダイヤモンドの搾取をめぐってウガンダ政府軍と戦闘し、少なくとも1200人の市民を殺害した(第2次コンゴ戦争)。
ルワンダ政府軍の兵士たちはこれらの一連の過程で女性たちをレイプしている。ルワンダ政府軍とルワンダ反政府勢力の要員に犯された被害者は多く、「(現職の国家元首の中で)最も重要な戦争犯罪人」と評されるカガメ大統領の責任は重い。
さらに、性的暴力を容認するコンゴの指導者・政府を歓迎する国家、つまり政府開発援助などを拠出する大国をはじめ各国政府の責任も強調された。何を隠そう、戦争犯罪人と非難されているカガメ大統領はアメリカとイギリスの支持を受けて今の地位を確立している。
コンゴでは法の支配と正義がないがしろにされ、性的テロの主要な加害者が不処罰のままでいる。厳密に言うと、加害者が犯した罪が明白になっているにもかかわらず、その事実が黙認されている。加害者と利権関係を持つ現地政府は、演説でムクウェゲ医師が指摘したように、大国政府によって赤いカーペットで迎えられている。
事実、2002年の設立以降、国際刑事裁判所(ICC)はコンゴ東部の性的テロの主要な加害者を訴追したことはない。また、ルワンダ国際刑事判所(ICTR)は2002年、ルワンダ現政府の容疑者を初めて起訴する準備をしていたが、ルワンダの強力な同盟国であるアメリカ・イギリスが圧力をかけ、国連安保理によって検察官が取り換えられた。
無関心にノーを
資源大国のコンゴでは天然資源をめぐる争いが絶えず、結果として性暴力の被害者が止まらないわけだが、日本を含む大国政府は携帯電話などの原料となる鉱物をコンゴから輸入し続けている(参考:コンゴの性暴力を止める責任は日本にもある)。
日本に限って言えば、政府が1993年以来開催しているアフリカ開発会議(TICAD)の招聘者には、問題の当事者であるコンゴ、ルワンダ、ウガンダの各国政府の国家元首もいる。
ムクウェゲ医師は演説の最後にこう述べている。
「この20年間に流血や性的暴行、人々の大規模な避難を経験したコンゴ民主共和国の人々は、政府が市民を守る責任を負うことを切実に待っています」
コンゴやルワンダの無責任な国家元首の招聘や政府開発援助を通して、市民の税金が間接的に紛争下の性暴力を助長している実態に向き合い、日本人のわれわれも「無関心であることにノーと言うべき」(ムクウェゲ医師)だろう。
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