飲み会の会話が苦手な人はこのコツを知ろう 忘年会で周りから浮かないための鉄板話法

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質問に関しては「とにかく相手に質問をするのが話を盛り上げるコツ」と勘違いしている人も多いのですが、これは盛り上がりに水を差しかねない危険行為。次々に質問をすると、相手は詰問されている感覚になるからです。質問をするとうまく会話が続いているような錯覚に陥りがちですが、相手にストレスをかける一方。徐々に相手の口数が減っていくことも珍しくありません。相手が話し上手でない場合はなおさらです。

雑談は情報集めとは異なります。質問の頻度は1分間に1回以内に抑えるといいでしょう。代わりに、「相手の発言を受け止め、自分の経験や意見を付け足す」受け答えをするだけで話が深まり、相手との距離も近づきます。難しくはありません。たとえば「子どもをだっこするのもたしかに腰にくるよね。自分は昔、だっこのせいで腱鞘炎になったことがあって大変だった」といった具合に相手の話を肯定して、自分の経験や感想を話せばいいのです。

孤独になりがちな「ゆっくり話す人」はどうすれば?

大人数の飲み会で孤立する原因には、話す速度も影響しています。大人数の場では、話すスピードが速い人たちで話が進んでいく、という法則があります。だからゆっくり話す人は孤独になりがちです。あくまで目安ですが、1分間で320~360文字話すくらいが普通のペース。それ以下であればゆっくりライン、それ以上であれば早口ラインと考えていいでしょう。

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ただ、話す速度を上げれば会話参加率が高くなるかというと、そうでもありません。残念ながら話す速度はセンスのようなもので、いくら努力をしても大きく変えることは至難の業です。私がすすめているのは、2~3人程度の会話に持ち込むこと。少人数であれば、周りの人の会話スピードに振り回されにくくなります。

忘年会といっても、2~3時間ずっと全員で話題を共有する必要はありません。近くの席の人や話しやすい人に話し掛けて少人数の会話に持ち込んでしまうのがいいでしょう。

飲み会が苦手な人は、気遣いができて周りの反応を気にする人に多く、「みんなを笑わせないと」と気負ってしまうようです。ビジネストークと違うことだけ意識して、あとは無理せずにできる範囲でできる人と会話できれば忘年会は十分楽しめます。

川島 達史 コミュニケーション講師、精神保健福祉士

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かわしま たつし / Tatsushi Kawashima

これまで10~70代の3000人以上に雑談スキルを指導。大学院では雑談の研究を行い、会話トレーニングを開発した。自身も対人恐怖症に苦しめられ引きこもりを経験。家族にすら顔を合わせられない状況から抜け出すために、会話術を勉強しては部屋のポスターに向かって各3000回ほど練習。症状が良くなったものもあれば悪化したものもあり、会話術には間違ったやり方や取り入れるコツがあることを体感。社会復帰後は一般企業で働いたのち「ダイレクトコミュニケーション」を設立。自身の体験と生徒の反応、検証データを大事にしながら首都圏と関西圏で講座を開催している。「ダイレクトコミュニケーション」公式サイト https://www.direct-commu.com/

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