マツダがガソリンエンジン開発に懸ける本気 スカイアクティブX搭載「マツダ3」の真価

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この点については、今後他モデルへの導入を進める中で考慮すべき余地もある。マツダ3は日常の足となるコンパクトモデルに位置づけられるが、たとえばロードスターのようなモデルを好む顧客にとって、現在のスカイアクティブXの反応は「ややマイルドすぎて物足りない」印象を与える可能性もある。

別府氏はそれについて「社内でもそれについて議論がなかった、とは言えない。しかしこれが現時点でのマツダの出した最良のエンジンとセッティングである、ということでマツダ3をまずは提供し、その乗り心地を確かめていただく。そして顧客からの声を基に今後のエンジン、トランスミッションの改良に反映していこう、ということだ」と語る。

開発担当者「まだ究極ではない」

非常に完成度の高いエンジンに思えるスカイアクティブXだが、別府氏は「まだ究極には至っていない。究極のガソリンエンジンに到達するための1つの道標だと考えている」という。

これまでミラーサイクル、ロータリーなど世界に類のないエンジンを開発してきたマツダだけに、イノベーションについては絶対の自信があり、今後もさらに磨きをかけ低燃費と乗り心地を実現させるエンジンが生まれる可能性がある、という。

新型エンジンはデザインにも新たな可能性を提供した。スカイアクティブXは従来のエンジンよりも小型化に成功しており、このためボンネットの高さを30ミリ低くすることができた。デザインを担当したチーフデザイナー、土田康剛氏によると「特にセダンにおいて、ボンネットが30ミリ低くなったことにより、ボディの前後の線を強調した流れるようなラインが可能になった」という。ハッチバックでも車高が低いことで表すことができるどっしりとした重厚感、塊感の表現が可能になった。

デザイン面でも世界の潮流は3Dデザインソフト、3Dプリントによるモデリングなどに向かっているが、マツダではあえて「日本の匠」を見せるために従来のモデラーによる粘土を使ったモデリングにこだわった。

まさにミリ単位で職人技が完成させたボディは滑らかで光を美しく反射する、上質感を与える仕上がりになっている。来年から北米市場に投入され、その後世界での販売が始まるマツダ3。ガソリンエンジンの可能性を追求した車は世界で評価されることになりそうだ。

土方 細秩子 ジャーナリスト

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ひじかた さちこ / Sachiko Hijikata

アメリカ在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、アメリカの社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス滞在経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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