LINEが「銀行参入」で狙うフィンテックの王座 みずほFGとタッグ、2020年にも開業へ

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スマホ決済以外にも、LINEは10月以降、損害保険、テーマ別株式投資、スマホ家計簿など、金融系サービスを続々と投入している。ネット通販や出前などの既存サービスでも支払いや出金が絡むものは多く、銀行業とは相性がいい。

一方のみずほFGがLINEと組む目的は「デジタルネイティブ世代との接点を持つこと」(同社の岡部俊胤副社長)だという。次世代の顧客となる若年層の開拓への焦りが透ける。

7800万人のユーザー基盤を生かせるか

新銀行の具体的な事業計画はまだ明かされていないが、出澤社長は月間7800万人の利用者基盤やスマホ特化のサービス開発力を自社の強みに挙げる。「業界の規制は確実に守るが、ひょっとするとそれが今まで(既存事業者の)言い訳になり、本来努力が足りなかった部分があるかもしれない。それがうちの挑戦すべきところだ」(同)。

LINEは銀行参入発表と同日、個人向け信用スコア算出サービスとそれに基づく無担保ローンの構想も明かした。みずほFG傘下のみずほ銀行など2社もその事業会社に出資する。

金融の核となる銀行への参入で、LINEはフィンテックでも強者となれるか。生活のあらゆる場面に入り込むプラットフォーマーとしての技量が試される。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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