郵便局員の呆れた不正に下った甘すぎる処罰 わずか半年の資格停止、育休理由に調査凍結

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

この局員は、叔母にあたる女性に不告知教唆(健康状態を誠実に申告しないように促すこと)をして、叔母を保険に加入させている。叔母は潰瘍性大腸炎という重篤な病気に罹患していてふつうなら保険には入れないが、局員は「自分なら保険に入れてあげられる」と叔母をそそのかし、告知書に「健康」と記入。しかも叔母は京都に住んでいるため、契約にかかる一連のやりとりをすべて郵送で行なっている。これは無面談契約(直接会わないで契約すること)という不正行為である。

「不正でも2年過ぎれば解除にならない」

ちなみに凛さんがこの局員に確認したところ、かんぽ生命では契約から2年過ぎれば、不正が発覚しても保険は解除にならずふつうに保険金も降りるのだそうだ。局員はその制度を利用し、2年間は保険金を請求しないように叔母を指導していた。そのやりとりを録音したものを、凛さんは2017年にかんぽ生命の北陸エリアコンプライアンス室に提出。同室職員も「これは不正に違いない」と認めたのだという。

しかし、同室が実際に調査に入ろうとしたところ、局員は育児休暇に入った。配偶者が子どもを産んだからだ。休職中はかんぽ生命の調査を拒否する権利が局員にあるというのが、日本郵便のルールだという。この局員は最近2人目の子供が配偶者にできたことを理由にさらにあと3年休職すると言っているのだそうだ。「育休なら局に顔くらい出せるはず。本人はいつでも調査に応じられる立場にありながら、調査を拒否している。一体いつになったらきちんと調査できるのだろうか」と凛さんは憤りをあらわにする。

凛さんが知る限り、日本郵便では本人が罪を認めない限り処分できない原則になっているのだそうだ。「処分が軽い、休職中には調査ができないなど、局員の不正に甘すぎるのではないか」と実際に被害を受けた凛さんはそう訴える。

『週刊東洋経済』編集部は、日本郵便とかんぽ生命に対し、以下の趣旨の質問をぶつけた。

・「この局員(質問状の原文では実名。以下同)は現在休職中」というのは事実か
・この局員は字体をまねて、他人の苗字の印鑑を購入し、凛さんや健一さんの同意なく、契約書を偽造し、保険契約を成立させたというのは事実か
・この局員は潰瘍性大腸炎に罹患している叔母に電話で不告知教唆を行い、郵便で契約し、その際、「腸関係の病気以外なら保険金を請求できるし、2年経てばかんぽならどんな病気でも調査なしで保険がおりる」と言っていたというのは事実か
・凛さんは2015年6月14日にかんぽ生命の本社コンプライアンス統括部に不正行為について報告し調査を依頼した。不正契約に端を発し、この局員は凛さんに傷害行為、強迫行為を続けたため、凛さんはかんぽ生命に対しこの局員を懲戒解雇にするなど厳正に処分するように求めたが、かんぽ生命は現在も「この局員が休職中であるから調査ができない」としているというのは事実か
次ページ質問に対する日本郵便とかんぽ生命の回答は?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事