安倍新内閣、いきなり「片山劇場」の帰結は?

自民党は早期決着、野党は引き延ばし作戦

1日から始まった衆院予算委審議では、野党側が片山氏に繰り返し事実関係をただした。これに対し片山氏は「100万円は税理士の口座に振り込まれた。私の口座に振り込まれたことは一切ない」と説明。「(会社経営者と税務について)話していない」とも語るなど、疑惑を全面否定した。

ただ、1日に片山氏はこの税理士について「秘書として契約したことはない」と答弁したが、2日の審議で野党から「私設秘書しかもらえない参院の通行証を(税理士は)持っていたのでは」と追及されると、「保有していた」と認めるなど答弁のほころびも露呈。さらに文春は、次週号などの続編で、会社経営者とのやりとりとされる電話の音声データも公開し、予算委でその真偽をただされた片山氏は、「自分の声か聞きづらくて判別できない」などと苦しい釈明に終始した。

参院予算委に舞台を移した週明け5日にも、立憲民主所属で元テレビキャスターの杉尾秀哉氏が質問に立ち、「あなたははっきり言って完全にアウトだ」などと人格攻撃も交えて厳しく追及したが、片山氏は答弁メモを見ながら木で鼻をくくったような答弁を繰り返した。ただ、杉尾氏も「後日また追及する」と20分程度で片山氏への質問を打ち切るなど、追及は尻切れトンボに終わった。

この日、立憲民主の質問一番手は追及の鋭さで「首相の天敵」とも呼ばれる蓮舫副代表だったが、片山氏の疑惑には一言も触れず、「女の闘い」を期待したメディアや傍聴者は肩すかしを食った。さらに、キャラの際立つ片山氏の「スキャンダル」なのに、民放テレビの情報番組に大きく取り上げる動きがないのも、「野党の追及姿勢の甘さが原因」(自民国対)とされ、首相も「経験と知識を活かして職務を遂行して欲しい」と余裕の表情で片山氏を擁護した。

文春の疑惑報道以来、各週刊誌は、①支持者へのカレンダー無償配布、②政治資金の収支報告書への記載漏れ(指摘されて急きょ訂正)、などの"片山疑惑"を次々書き立てているのに、現状では野党側に連携プレーで徹底追及する気配はみえない。その背景には「疑惑追及ばかりでは国民の支持が得られない」との不安と「片山氏はいずれ、ボロを出す。当面は(引責辞任への)布石を打てばいい」との期待が交錯しているからだ。

「超エリート」だがトラブルメーカーでもある

野党側から政治家としての資質まで攻撃される片山氏だが、その経歴は政治家の中でも群を抜く華麗さだ。1959年5月生まれの同氏は、来年還暦を迎える。小学校時代から「天才少女」「神童」と呼ばれ、進学校の東京教育大付属(現筑波大付属)の中学・高校に通い、高校3年時には有名予備校の全国模試で連続してトップになったことが、当時の受験生の間でも語り継がれているという。

最難関とされる東大法学部にも楽々合格し、卒業後は大蔵省(現財務省)キャリア官僚となった「絵にかいたような超エリート」(閣僚経験者)の片山氏。そのずば抜けた成績から同省入省時には「将来、初の女性事務次官になる逸材」と期待され、その後も順調に出世街道を歩んできた。

その片山氏が霞が関での「有名人」となったのが、舛添要一前東京都知事との結婚だ。片山氏のフランス留学が縁となり、当時はフランス研究を専門とする東大助教授だった舛添氏と見合い結婚して省庁を超える話題となった。しかし、「双方のプライドのぶつかり合い」(友人)などを理由に約3年でスピード離婚し、その後、ゴルフ業界の有力企業であるマルマンの「跡取り息子」の片山龍太郎氏(前産業再生機構執行役員)と結婚し、現在に至っている。

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