「テスラ・キラー」EVベンチャーが失速した真因 財政難、創業者退任、従業員大量リストラ続く

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同社広報は「雇い止めは新規の投資ラウンドで資金が調達できれば解消できる。FF91は予定通り2019年初めから順次納車できる」という見解を出しているが、今回の人員削減で、カリフォルニア州の本社機能はほぼ半減されたという。

さらにファラディにとって大きな打撃となりそうなのが、創業者の1人であるニック・サンプソン氏の退任だ。サンプソン氏は自動車業界で研究開発に35年間携わってきた人物で、ファラディに参加する以前はテスラでモデルS、Xの開発を行ってきた。

2016年の記者発表ではファラディの未来について「シンプルなシャシーの開発により、1つのプラットホームで様々なサイズのEVを作り出すことが可能となった。それによりファラディはこれまでにないスピードで複数のモデルを同時に進行させることが可能だ」と語っていた。

同氏は古巣であるテスラに対し「開発スピードが足りない、イノベーションに欠けている」という批判も行っていたが、今回の規模縮小により退任を明らかにした。

創業者「将来設計に大きな障害」

また、サンプソン氏は「ファラディ社は経営的にも人的資源においても行き詰まっていると言わざるを得ない。少なくとも将来設計に対し大きな障害を抱えた。自分の進むべき道はこの会社にはもう存在しない」と、同社を見放すようなコメントを出している。

ファラディ社の躓きの元となったのは、LeEco社CEOジア氏個人の財政的問題だ。ジア氏はかつて中国の大富豪の一角に名を連ねていたが、昨年ローンの不払いなどにより中国の裁判所から1億8200万ドル(203億円)に上る個人資産の凍結措置を受けた。

急速に成長したLeEco社だったが経営を多角化しすぎて経営難に陥った、とされる。またこの財政の問題からファラディ社はサプライヤーから代金未払いなどの訴訟をいくつも抱えることになった。

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