「自動運転バス」今できること、できないこと

無人バスに安心して乗ってもらうためには?

実はこのバス、6月に慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスで行われた実証実験(2018年7月6日付記事「小田急「自動運転バス」で夢見る鉄道新時代」参照)など、全国各地での実験で使用している車両。今回のラッピングは日立市での実験期間のみだ。短期間のためにわざわざ手の込んだラッピングを施したのは「単に自動運転の実験というだけでなく、将来のバスの姿を見てもらう機会にしたい」(みちのりHD広報担当者)という狙いがある。

スマホの専用アプリはチケット購入のほか、乗車するバスの接近案内表示などさまざまな機能がある(記者撮影)

実際に、試乗では自動運転だけでなく「ちょっと未来のバス」を体験できる。その1つは、スマートフォンの専用アプリと、太陽光発電で稼働する電子ペーパー画面を備えた「スマートバス停」の組み合わせによる運賃事前決済の仮想体験だ。

スタッフから渡されるスマホのアプリでバス停の画面に表示されたQRコードを読み取ると、乗車前にチケットを購入できる。バス車内には人の聴覚では聞こえない高周波の音が流れており、乗車するとこれをスマホが認識し、チケット購入済みであることを認証する仕組みだ。無人運転時の運賃決済だけでなく、車内での支払いにかかる時間を短縮する手段の1つにもなりそうだ。

アプリにはこのほか、自分が乗るバスが到着するまでの待ち時間や停留所への接近を知らせたり、乗車中に降りる停留所が近づくと知らせたりする機能もある。開発した経路検索サービス会社ジョルダンの担当者は「自動運転バスが実用化された際、ユーザーにどんな体験をしてもらえばいいかを考えた」と話す。

バーチャルガイドで安心感

また、将来的には無人化が見込まれる自動運転バスに安心感を持って乗ってもらうための技術も試行している。車内のディスプレイに表示されるバーチャルガイドだ。名前は「千夏ちゃん」だという。

車内のディスプレイに表示された「千夏ちゃん」は監視員の表情を反映して動く。試乗時の「中の人」は男性だった(筆者撮影)

車内はカメラで常時遠隔監視されており、マイクを通じて乗客へのアナウンスが可能だが「車内に誰もいないと『本当にこの車は停まれるのか』と心配になる人もいるはず」(SBドライブ担当者)。過去にはソフトバンクのロボット「ペッパー」を乗せたこともあるというが、今回はバーチャルガイドを採用した。

「千夏ちゃん」は単なるアニメーションではなく、まばたきなどの表情や顔の動きは管制センターのスタッフの動きをリアルタイムに反映しており、人間的な表情を見せる。顔の見えない放送ではなく、キャラクターを通じたコミュニケーションとすることで、無人でも利用者に安心感や親しみを持ってもらおうという狙いだ。

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