これら地域ごとの男女の飲酒量と生涯未婚率との関係性について見てみます。2015年の都道府県別生涯未婚率を組み合わせて、相関散布図を作成してみました。「国民健康・栄養調査」は都道府県別の数字がありませんので、国勢調査の都道府県別の生涯未婚率を地域ブロック別に合わせました(単純平均)。
これによると、男女ともゆるやかな相関が確認できました。特に、女性のほうは相関係数0.77で強い正の相関があります。つまり、酒を多く飲む女性が多いエリアほど、生涯未婚率が高いということです。酒を飲みすぎるから結婚しないのか、結婚しなかったからこそ酒を飲みすぎてしまうのか……。
「酒消費量・料飲店数・婚姻数」の関係
冒頭に、成人1人当たりの酒類消費量が最盛期から2割減になったと書きましたが、もっと深刻なのは、夜遊び経済(ナイトタイムエコノミー)の衰退です。夜の料飲店(居酒屋をはじめ、バー、高級クラブやキャバクラなどのナイトクラブなど主にお酒を提供する店、喫茶店は除く)売り上げも、バブル絶頂期の1992年の5兆5000億円を頂点として、2017年は3兆8000億円まで減少しています。およそ3割減です。
全体の酒消費量のマイナス分より、料飲店売り上げの下落のほうが激しいということです。男女とも30~50代は10年前に比べて飲酒量は増加しているのに、料飲店の売り上げが下がるということは、つまり彼らの「ウチ飲み」の増加、「ソト飲み」の減少だともいえるわけです。デフレで料飲店の客単価が下がっていることも考慮すべきですが、それにしても、男女とも夜遊び機会が激減していることは間違いないと思います。
1人当たりの酒の消費量、料飲店の売り上げと婚姻数という、3つの長期推移を1のグラフにまとめてみました。
ご覧のとおり、驚くほどその形が一致します。酒消費量と料飲店売り上げが連動するのはわかるとしても、酒や料飲店と婚姻数が連動しているはおもしろい現象です。料飲店の売り上げが上がると数年遅れで婚姻数が増え、料飲店の売り上げが下がるとそれに追随するかのように婚姻数も減少しています。「ソト飲み」の機会が増えると結婚が増えるのでしょうか?
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