初試算!満員電車の経済損失は年間3240億円

首都圏の通勤時遅延、ストレスを金銭換算

ナビタイムジャパンのアプリのデータを分析した結果、片道あたりの満員電車によるストレス分は、1人あたり平均して1日50円程度と見積もられた。これは朝ラッシュの場合であり、夕方のラッシュも同等の損失があると仮定できる。これは「あと毎日100円多く払ってもいいから満員電車に乗りたくないと平均的には考えられている」と言い換えることができる。首都圏の満員電車に乗っている人数は500万人であり、平日が年間240日であるとすると100×500万円×240=1200億円/年となる。よって、満員電車のストレスによる損失は1年あたり1200億円と見積もることができる。

「まったく身動きができない電車」による損失

次に満員電車でまったく身動きができないことによる経済損失を推定しよう。ここでは国交省が特に解消に力を入れている混雑率180%以上の電車を「まったく身動きができない電車」と定義する。もちろん混雑率180%の電車の乗客全員がまったく身動きできないわけではないため、乗客の8割が「まったく身動きができない状態」になっていると仮定する。なお、国交省によると混雑率180%は「無理をすれば新聞が読める程度」であるが、筆者の所感では混雑率180%の電車内で新聞を読むのは不可能であり、スマホを操作することでさえかなり厳しい。

ナビタイムジャパンでは、電車混雑度を案内するために首都圏すべての電車利用者の行動をシミュレーションし、すべての列車が各停車駅で何人乗車しているかも計算している。このデータを利用すると、1日あたり総計1028万分ものまったく身動きができない時間が発生していることがわかった。1028万分というと途方もない数値に聞こえるが、首都圏で1日あたりの乗車人数はのべ2500万人程度と推測され、たとえばそのうちの50万人が20分間身動きできない状態で過ごしていると考えれば、大げさな数値ではないといえるだろう。また、ナビタイムジャパンではその損失額を1分あたり30円と試算している。年間を平日240日とすると、年間740億円の損失が「まったく身動きができない」ことにより発生していることになる。

そのほか電車遅延が発生し会社に遅刻するとなった場合、会社内で遅延申請、遅延事実確認、申請承認などの事務作業が発生するが、これらも経済的損失と考えることができる。また、車内において身動きができたとすれば、行えたはずのゲーム・読書・動画視聴についての消費額、さらにスマートフォンを通じて触れたはずの広告や、行ったはずのモバイル通信などについても損失として数えあげることもできるかもしれない。これらすべての損失を考慮すれば、実際の経済的損失はさらに大きいと言えるだろう。

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