1990年代に、多数の人気グループが誕生し、解散や卒業を経てメンバーがソロでの音楽活動にシフトして歌い続けているアーティストを思い浮かべてみてもほとんどいない。
安室奈美恵、三浦大知といった本格派シンガーを除くと、苦戦を強いられている状況だ。
山本彩が志すシンガーソングライターも時代がデジタルへと移行した影響で、セールスが多いヒット曲が生まれにくい状況であることは事実だ。
スマホの普及でヒット曲が生まれにくくなった現代
1990年代、2000年代初頭は、ドラマ主題歌、テレビCMなどから、数多くのヒット曲がうまれた。
現在は、スマホの普及によって、情報が溢れて大衆の興味が細分化、それぞれのファンコミュニティが形成されている。その結果、音楽ビジネスが単なる「聴取」から「体験」へと大きく変化している。
山本彩にも、シンガーソングライター活動での課題をたずねると、「応援してくれているファン以外の一般層に対しての認知は、まだひと握りだと思う」と率直に語った。
しかし今年8月、山本彩の歌が世間を賑わせた出来事があった。
日本テレビ系「24時間テレビ 愛は地球を救う」で、番組初のトライアスロンでゴールを果たしたANZEN漫才のみやぞんが苦しい練習中にいつも励まされた曲として山本彩が歌う「ひといきつきながら」を挙げていた。
その後、同局の「行列のできる法律相談所」でのサプライズで「ひといきつきながら」を弾き語りで、山本彩が披露し大きな話題を呼んだ。
番組の視聴率は、21.0%を記録し、オンエア後にリアルタイム検索のトレンド入りを果たす。音楽ダウンロードサイトの「レコチョク」で、シングルデイリーランキング1位、LINE MUSICでランキング1位、iTunesで3位と急上昇した。
「あの日のようなことを絶えずやっていくことが1番理想というか自分にとっていいことなんだろうと思う。
簡単にはいかないことだけど、アイドルを経験して、これからアーティストになっても、ジャンルにとらわれずに、いろんな画法を描きながら自分を知ってもらえるようになりたいですね。そんな幅の広いアーティストになっていきたいと思います」
この先、AI(人工知能)が発達し、多くの仕事がロボットに置き換えられる時代になったとして、音楽はどんな立ち位置になるだろうか。
筆者はどんなに時代が変化しても音楽の力は、時代を超えて色褪せないものだと信じている。曲を聴きながら背中を押されたり、時に思い出や悲しみに憂いたりと、誰の心にも寄り添い、支え続けることが出来るのが音楽の力と思う。
山本彩のNMB48卒業コンサートは10月27日に大阪・万博記念公園東の広場で開催される。初の野外会場での開催となり、グループ史上最大規模のスペシャルなライブが予定されている。
その日、山本彩にとって生涯忘れる事のない空を見上げるだろう。
それは、何年経っても思いだしたくなるような、会場を包む優しさが空を彩り、希望に向かって旅立つ、未来へと繋がっていく空だ。
翼を広げ、自身の将来の目標も、異国の空に思いを馳せながら。
(文中敬称略、第3部 生涯現役宣言に込めた思いに続く)
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