山手線は深夜も動いた!「計画運休」一部始終 京浜東北、中央線「最終列車」は何本も走った

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八重洲口からは深夜の高速バスも発着する。列車同様にバスも運休を重ねているためかと思いきや、バス待ちの人の多くは駅の外で待ち、駅構内に座り込む人は列車乗客のようだった。もうほとんどの列車は最終を終えた。まもなく駅も閉まるのではないか。駅務員は状況をこう説明した。

「駅を終日開けるかどうかは決まっていないんですよ。新幹線で車泊対応するかもしれないのですが――」

駅を管理するJR東日本に電話で問い合わせたところ、「駅は通常通り閉めます。車泊は1編成だけです」とのことだ。すでに改札を出ている人に車泊は難しいのかもしれない。

23時を過ぎて再び駅に入ると、列車ホテルの案内が聞こえた。

「女性のお客様は4号車から乗車し1号車から4号車まで、家族連れのお客様は6号車から入り7号車、8号車まで。男性のお客様は9号車から入り10号車までをご利用ください」

注意深く情報収集を

さて、20時から順次止まる在来線は、東京駅ではいつまで動いていたのか。それはアナウンスに耳を澄ませる人だけにわかった。ホームでは「回送(Out of Service)」と表示されており。実際、ひと昔前ならバックパッカーと呼ばれたかもしれない15人ほどの外国人の集団は、しばらく待っていたがいなくなってしまった。山手線回送電車は、23時14分大崎止まり、23時20分池袋止まりが、本当の最終だった。東京駅に到着した新幹線乗客の一部や、途方に暮れた人の一部を乗せたものだった。

回送という表示のせいか、降りる人はいても、乗り込む人は誰もいない。駅に降りると利用者より駅務員や警備員のほうが多いという、山手線では見たことのないような光景が広がった。

計画運休とは利用者が残っていても、運転を打ち切るという意味ではない。鉄道事業者は利用者の状況を見ながら運休を決めている。計画運休に遭遇したときは、あきらめずに情報を収集してみるといいかもしれない。

中島 みなみ 記者

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なかじま みなみ / Minami Nakajima

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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