日経や明治が「検定」を売りにする3つの事情 「人材育成」など一石三鳥のうまみがある

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このような話題性のある企画はSNSでも大きく拡散されました。冷静に計算してみると「○○1年分」の賞品を用意するのにかかるコストは実はせいぜい数十万円程度にすぎないことがわかりますが、各種ニュースメディアに大々的に取り上げてもらえる宣伝効果と、魅力ある特典の提示により受験者数の増加が見込めることを考えると、むやみに広告を出すよりもよほど宣伝効果が期待できるうまいやり方だと思います。

メリット3:人材育成

3つ目のメリットが「人材育成」です。資格試験の本質的・本来的な意義が「ある分野の知識・技能を測る物差し」であり、それにチャレンジする過程で能力向上が図られるものである以上、資格・検定制度の創設は、その業界における人材の育成・スキルアップに直接的に結び付きます。

「財務報告実務検定」はまさにそのようなコンセプトで立ち上げられた検定で、公式テキストのまえがきにも「簿記検定の内容は上場会社の経理実務とは乖離があり、連結決算・開示実務のスキル向上に役立つ教育手段がこれまでなかったので検定を創設した」といった旨が書かれています。

すでにその業界で働いている人のスキル向上に寄与するのはもちろん、業界外の人や学生に対して、その業界のことを知ってもらうきっかけ・入り口としてもらえるという点でも、資格・検定という存在は有用です。

さらに言えば、資格を通じてスキルアップした人材を業界内企業に対して人材紹介する仕組みまで構築できれば、さらなる価値創造や売り上げアップにもつながります。

資格制度創設に向いている業界は?

とは言うものの、「あそこが検定やってるならうちでも」程度のなんとなくのノリでは、継続的な運営は難しいでしょう。わずか1~2回程度の実施で自然消滅してしまったご当地検定も少なからずありますが、長期的な見通しの甘さに主な要因があるように思います。

新資格の立ち上げには明確なビジョンや戦略が必要ですが、資格制度創設に向いている業界として筆者が注目しているのは医療・福祉業界です。

ここ数年で「スポーツ医学検定」や「心電図検定」「胎教アドバイザー」といった資格が誕生しています。もともと国家資格でガチガチの業界だったからこそ、提供するサービスに新しい付加価値をプラスする民間資格ができることによって、サービスの多様化や高度化が進む業界だと感じます。

鈴木 秀明 資格・勉強コンサルタント

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すずき ひであき / Hideaki Suzuki

総合情報サイトAll About「資格」ガイド。東京大学理学部化学科卒。東京大学大学院公共政策学教育部経済政策コース修了。1981年富山県生まれ。気象予報士・中小企業診断士・行政書士・証券アナリストなど600個近くの資格・検定をすべて独学で取得。年間50個以上のペースで資格を取り続けている。資格・学び関連の連載、資格関連の雑誌・書籍の監修、資格試験主催団体へのコンサルティングなど、資格・勉強法の専門家として多方面で活動中。テレビ・ラジオ・雑誌などのメディア出演実績は200件超。著書に『効率よく短期集中で覚えられる 7日間勉強法』(ダイヤモンド社)、『10年後に生き残る最強の勉強術』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

 

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